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2003年03月19日(水) 男は「そういう生き物」なのか(後編)

前回の日記には、浮気についての本音コメントをいくつもいただいた。
「仕事を語るより人生を語るより、恋愛観にその人がもっともよく表れる」というのが私の持論。独身時代は気になる人ができると、なによりもまずそこのところをチェックしたものである。
今回、“浮気観”を語ってくださったのはほとんどが女性であったが、やはりひとつひとつからその方の性格や生き方の一端が伝わってくるような気がして、ぐっと親近感を募らせた私だ。

さて、いただいたメールは25通(うち男性は3)。「女もすなる」とあったのは13通、「浮気されたら関係終了」と宣言したものは14通で、いずれも過半数に達していた。
それではいくつかコメントを拝借しながら、今日は小町の恋愛観をお話しま……こら、べつに知りたかないとか言うなー。
まずは、思わず「うわ、これイヤやなー」とつぶやいてしまった、これ。

彼は「アイツを責めるなよ」と彼女をかばってるし、彼女も挑戦的で、なかなか嫌な気持ちを味わいましたね〜。 【だんさん】


学生時代、彼の浮気が発覚したときのお話だそうですが、私だったら「なかなか」どころの話じゃすまないでしょうね。
浮気されたとき、恋人を憎むか、相手を憎むか。私は相手の女性に憎悪を燃やすタイプなので、「アイツは悪くない。責めるなら俺を」なんてセリフは火に油を注ぐようなもの。
といっても、私が女性の前で感情をあらわにすることはないですけどね。自分が怒りや嫉妬で取り乱しているのを彼女に知られるほど、屈辱的なことはない。それは私にとって究極の敗北。どうせ恋人と関係を続行させることは不可能。ならば、彼女の家に乗り込んだり一発ひっぱたいてスカッとするよりも、何事もなかったかのような顔をしてプライドを死守するほうを選ぶだろうと思います。
では次は男性に聞いてみましょう。もし妻に浮気されたら、あなたはどうしますか?

うーん、自分の落ち度を責めるなぁ、第一に。愛想をつかされる失敗も重ねているので、「ああ、ついに」とあきらめるか、「相手にあって僕になかったものは何か」は突き止めたいです。捨てられたら、さらに男を磨いて口説き直すしかない?これは難しいなぁ。間違いなく泣き寝入りですな。 【matsumonさん】


ま、なんともうらやましい。奥様への愛が爆発してますねー。
実はこれ、すごいと思ったんですよね。そんな目に遭ってもなお、matsumonさんは「妻」を見ている。私だったら、女を磨いて同じ相手を口説き直すという発想はまず浮かばない。
私、買物は遅いけど、こういう場合のあきらめというか見限りはものすごく早いんです。その昔、彼の留守に部屋を掃除していて他の女が泊まった痕跡を見つけてしまったことがあるのですが、三十分後には荷物をまとめ、テーブルに書き置きを残して出て行っていましたね。
この手のことでケチのついた相手とはやり直せないというのが大前提としてあるので、わんわん泣きながらも「この人とは終わった。次に進まなくちゃ」と考えている。私はそういうタイプです。
そして、私を非常に懐かしい気持ちにさせてくれたのがこれ。

今まで付き合ってきた人に対しては、ものすごい抑止力をもって浮気させないようにしてきている。 【ちょむさん】


若かりし頃を思い出しました。うんうん、私も牽制してきた覚えがあるなあと、思わず遠い目をしてしまいました。
では、今はどうなのかというと。夫の仕事の都合で、週末婚のような生活をかれこれ二年も続けているわが家。いくら慣れたとはいえ、友人に「浮気してたらどうする?」なんてからかわれてムッとしたり、夫と連絡が取れず、悶々とした気分で過ごす夜はあるわけです。
でもそんなとき、私が胸の中で反芻するのが「もう大人なんだから」という言葉。そのとき、妻にはいかなる言い訳も通用しないことを彼は知っている。それがどんな結果につながるかも。それでもなにか事を起こしたとしたら、それは間違いなく「彼の選択」なのだ。彼が大人の男として考えた末に選びとった行動なのだ。そのときはもう、こちらはそれを甘んじて受け入れるしかないではないか。
彼にまかせておけばいい、彼を夫に選んだ自分を信じるという意味でも。今はそういう気持ちだ。
これは彼への思いであると同時に、自戒でもある。私とて彼の留守になにかしようと思えば、いくらでもできるだろう。しかし、そのときはすべてを失う覚悟ですることだ、と。
その結果なにがどうなっても、「こんなことになるなんて……」はナシ。私も立派な大人なのだから。

二人の信頼関係というものをどれだけ大切だと思っているか、浮気するしないはそこにかかっていると思ってます。 【りおさん】


相手が本当にかけがえのない存在であるならば、それを失うリスクを冒してまでポッと出の好奇心や性欲を満たそうとするわけがない。そこまで頭が回らなかったというなら、その相手はそれだけの存在でしかなかったということだ。

今、私の手元に『話を聞かない男、地図が読めない女』がある。
つい昨日、「男の浮気性は精子の仕業だと言われても説得力がない。それは科学的に立証されていることなのか」と息巻いて書いたばかりなのに、あら、まあ。それは男と女の脳の違いによるものだ、と見事に解説されているではないか。
つまり、こういうことらしい。「セックスしたい」という欲望を作りだすのは脳の視床下部というところ。その部分が男性は女性に比べて大きいだけでなく、そこを活性化させる男性ホルモン、テストステロンの分泌量が女性の十倍から二十倍。ゆえに、性衝動は男性のほうが強いのだ、と。
なるほど、それで合点がいった。

会社の重役やら名誉のある職にいる男性があっさりと痴漢で捕まったり少女買春などに手を出すのを見ると、理性なき生き物よのーと慨嘆したくなりますよ。本当に、後先考えてない。 【匿名希望さん】


「おいおい、そんなことで人生棒に振るか?」と理解に苦しむような事件がしばしば起こるのも、そういうわけだったのねえ……なんて皮肉は置いておいて。
テストステロンが女性の百倍だろうが千倍だろうが、乱交性は生まれつき体の奥底に宿っているのだと聞かされようが、「じゃあ、浮気性なのはしかたないね」なんて私はやはり思わない。
人間は森の野生動物ではない。知性も、理性も、心もある。私がともに生きているのは「雄」ではなく、「男」なのだ。

【あとがき】
浮気に限ったことではないけれど、人間、いけないことだとわかっていてもするときはするでしょう。何を言ったところで、どれだけ目を光らせたところで、誰にも阻止なんかできないよね。つまり自分の選んだ人を信じて、まかせることしかできないんです。「信じきる」というのは決してたやすいことではないけれど、疑心暗鬼になって過ごすのはごめんです。「人生はなるようになる。すべては必然で起こる」それが私の信条でもあります。