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実は自分はSMで言うSなのだと正面切って告白された事がある。 かなり前の事だが、ちょっとばかり驚いたので良く憶えている。 何故そう言う事になったかについては詳しくは書かないが(大した事ではないです) 訊ねなくても彼は色々と話しをしてくれ、私はそこでプレイをせずとも SMについて少しだけ 学ぶ事が出来た。
彼は父親が自分と同じ趣味を持ち、自分は2代目である事を話してくれた。 知識人とかに多いとも聞いてたけど本当なのねと思った物だ。 でも何故彼が「自分は2代目だ」と思ったか、聞いた筈なんだけど忘れちゃった。
何故こんな話をいきなり書いているかと言うと、彼の話にあった事について 思い出した事があるからだ。 彼はこう言っていたのである。 「首絞めはプロも嫌がる」 話の途中に出て来た事なので、そっくりこう言う言い方では なかったかも 知れないが。
今にして思えば、彼の嗜好はソフトSMと言う奴に近かったのではないかと 思われる。 その時既に、同じ趣味を持つ奥さんと出会い幸せに暮らしていた。 だが、誰かにそう言う話をしたくてしたくて堪らなかったんだろうと思う。 ご夫婦の生活について若い私は大変興味があったので訊ねてみた。 夫妻の趣味は浣腸だと言う。 その時、私は腸に病気を持っていたので、聞かなきゃ良かったよとつくづく 後悔したのを覚えてる。 「私は潰瘍があるから無理に浣腸すると出血するんだよ」 腹を割って相手が話しているので自分も告白する。嫌な男女の会話である。 この時の生々しい会話を 私は多分一生忘れないだろう。 「俺は血は苦手なんだよね」 みたいな事を彼は答えたと思う。
鞭、拘束、言葉プレイと興味の続く限り不躾に尋ねる私。 何故か結構愉しげに 答える相手。その中で、首絞めの話が出た。 柔道などの絞め技で快感を 覚え、癖になると言う話辺りをしていた時の事だ。 「絞めろと言われても俺は出来ないね」 と彼。 「絞める奴は一番警戒される」
首絞めプレイが現在プロのSM関係者の間でどう扱われているのかは判らない。 だが、かつてはプロにも警戒されていたと言う欲望を持て余していた 人間が いたと言う事なのだろう。 強い欲望に衝き動かされて、結果犯罪に結び付いた者の中には、完全には 治らない事を前提に、ずっと見続けて行かなければならない場合もあると思う。 何でもかんでもと言うのではないし、見極めも大変に難しいだろうが、それでも そう言う人間は、やはり居ると思うのだ。
奥さんの体調を気遣いながら趣味の浣腸と言う生活を静かに送る人も またいるわけだが、互いに納得の上ならば身体に負担が掛からないなら それはまあ、夫婦の問題だから他人があれこれ言うのも。 一つの線引きは 他人を陥れてまで欲求を遂げようとする事だろうか・・・。
ソフトSM夫妻は風の便りに、今も仲良く暮らしていると聞いた。何より。 息子さんがそろそろ3代目を名乗るのかも知れないが、同じ趣味を ゆるやかに交歓出来る相手と無事めぐり合える事を何となくだが願っている。
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