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我が家のホームドクターと言っても良いO先生。 内科を開業して25年になる。 父以外は皆、お世話になっている。 私と祖母は入院もしている。 祖母は肺炎、私は飲み過ぎによる潰瘍と過敏性大腸炎。 今でこそ、自分で言うのも辛い中年の貫禄丸出しの姿であるが、当時は半分 拒食症の様な有様でガリガリに痩せており、本ばかり読み、殆ど食べなかった。 そんな私を先生は随分と心配してくれた。 O先生は未だに私の事を「焙煎ちゃん」とちゃん付けで呼んでくれる。 複雑な心持ちである。
ここのところずっと気分が何となく悪く、夏バテであろうとは思っていたが 玉ねぎ過敏症の悪化も考えた。 それに食べたい物が食べられない事が 夏バテに拍車を掛けている様で、何だか腹も立ったので 少しでも何とか ならない物かとO医院を訪ねた。 「・・・・・・と言うわけなんです」 私は余り、病状の説明とかが上手ではない。 いや、話す事が全般に上手くない のである。 いつもは「変わりないです」 しか言わない。 「玉ねぎの他に、同じ症状が出るものがありますか?」 とO先生。 「長ネギ、ニンニクなどでもなります」 「それは本来、血液をサラサラにする役割をする食べ物なんですよ」 優しい口調のO先生。 ですから、それが食べられなくなったんですよう。 「犬が実は、同じ様な症状を起こすんですよね」 知ってます。玉ねぎ中毒ですよね。でも私は人間なんですが。 言わないけれど内心では犬じゃないもんなどと思っている。 「・・・人でもね、たまにそう言う、犬みたいな・・・」 相変わらずムツ●ロウさんのように優しい口調でポツポツ話されるO先生。 犬みたいな何ですか。 犬じゃないもんっ
その後、胃薬などを頂いて帰る。 アレルギーと言うか過敏症だし、周囲にもバラ科植物過敏症の人とか 結構居るけれど、治らないとも聞いている。 O先生はパッチテストも してくれなかったのでパッチテストの項目にもないのか玉ねぎっ 本来は身体に良い筈なんだよニンニクとか。 犬と私くらいかおかしくなるのは。
近頃は無いのだけども、昔良く「犬型だと思う?それとも猫型?」 などと 聞かれる事があった。 これから聞かれる事があるか判らないが、迷わず 答えられる事は間違いない。 「犬ですね」
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