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金魚日記になっているこの頃。 松かさ病の金魚、シンゴちゃんが死んでしまいました。とほほほほほ。
朝7時。シンゴは静かに沈んでおり、水槽の壁に頭を向けてじっとしていた。 隣りの水槽では ポンポンが、やはりシンゴのいる水槽のある方の壁に頭を 付けてじっとしていた。 見つめあう恋 そんな感じであったが、それから30分後、シンゴが横倒しに。 隣りの金魚水槽では、残されたポンポンが大騒ぎになった。右往左往。 「見えるんだろうか??」 水槽と水槽の間は少しだが空いているし、ガラスも厚い筈なんだが。 光の屈曲とかで見えるのかな? 良く判らないけど。 シンゴは静かに横たわっている。浮いては居ないが 事情があって浮かない だけだろう。 多分このまま死んでしまう。 息子に言い渡す。 「お前が帰って来たらシンゴの墓を掘る」 まだ生きているのに。 「シンゴ、死ぬの?」 「死ぬ」 隣りの水槽では 相変わらず大暴れだ。 「シンゴが心配なんだね」 どうだろうと 思いつつ言ってみる。 餌を入れたら夢中で食い付いた。そこはやっぱり金魚。
息子が登校し、静かになった水槽前でしばらく様子を見る。 シンゴはゆっくりとひれを動かしている。もうすぐさよならだ。 小さい頃から小動物(特に鳥)をたくさん飼っていて、死に際の余りの苦しみ ように、殺してしまう事を何度も考えた。家族で相談した事もある。 だが、結局一度も出来なかった。ただ抱いていてやる事が多かった。 一番良くなついて、彼らが落ち着く飼い主が抱いていてやるのだが、そう 言っても 私か母かのどちらかであった。 だから生き物がどうやって息絶えるかを 私の手は知っていると思う。 ここには細かく書かないが。
夕べは夜更かしをしてしまったので、2時間ほど仮眠を取る事にする。 起きたらシンゴは死んでいるだろう。 シンゴが死んだらポンポンとの水槽の 間に 新聞紙を立てる事を頼んで、寝る事にした。 だが本当に互いが見えて いるのだろうか。謎だ。
2時間後、やっぱりシンゴは死んでいた。 「あれから直ぐ。一応 新聞紙立てといたけど、今度は自分の顔を映してみてる」 どうやらその通りのようだ。仲間だと思っているらしい。 シンゴは沈んだままだった。
息子帰宅。「さあ、埋めに行くぞ」 ビニール袋に生魚。スコップ。 「割り箸に『シンゴの墓』って書いてよ」 と私。 「でも割り箸だと細くて書き辛いね」 と母。 「割る事ないんだって。割らないでそのまま書いていいんだって」 割り箸を息子が持って、墓堀スタート。
夏の草花は根が張って中々掘れない。ちょっと掘って埋めてみたがシンゴは 意外と大きかった。 「・・・・・・埋めなおし」 他の部分を掘って埋めた。シンゴはドロの上を転がされてドロ玉のように なってしまった。 「花を掛けてあげなさい」 息子は走って行って少し大きめの 砂利を持って来た。 「これ上に乗せて」 墓石かあ。 「あんたが乗せなさい」 「いいよ。はいシンゴちゃん」 上からぎゅ〜っと 石を押し込む息子。ちょっとっ!潰れる。 「さようなら、シンゴちゃん」
オーちゃんもいつか死んでしまう。判るかな? 生き物はみんな死んでしまう。 放って置いても死んでしまう。だからわざわざ命を奪うような事をしてはいけない。 お母さんだって同じ。いつかは死んでしまう。 「お母さんも?」 そう、でもまだずっと後、Rが大人になってから、とその場では言っておく。 判らないんだよ、本当の所は。 「ママちゃん(祖母ちゃん。母がそう呼ばせている)も?」 「そう、ママちゃんも。でも直ぐじゃない」 いつか判らない。自分も 子供の事も。 先の事なんて何も判らない。 明日の事すら判らないのだ。それが本当だ。 何年生きても、いや生きれば生きるほど、それが怖くなるんだよ。 「オーちゃんが死んだら、泣く?」 「・・・・・・・・・泣く」 そう。 「その時は、一緒にお墓を掘ろう」 まだ生きているのに。
「ポンポンは一人で寂しそうだ・・・あ〜っ卵産んでる〜っ」 やっぱりシンゴがオスだったか。 小さな旦那様は逝ってしまった。 1匹だけでも卵は産むのね。その後全部、食べてしまったけど。 「ポンポンも死んだら、天国でシンゴにまた会える」 「そうだね、シンゴはずっと待ってるから、ポンポンもここで待ってるんだよ」 「電球の輪を付けて」 ・・・電球の輪?? ああ〜天使の。
何か宗教も何もぐっちゃぐちゃですな。 でもいいや、神様なんて自分の 心にちゃんとしたのが一人いればいい。形なんかどうでもいいんだ。
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