ことばとこたまてばこ
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| 2006年11月03日(金) |
二周年を祝して 『天 -1- ナツとアキという名のフリークスメン』 |
1分早く呼吸を始めた兄のおれの名前はナツという 1分間呼吸をしなかった弟のぼくの名前はアキという おれとぼくをあわせて「おぼ」って自分のこと呼んでる おぼたちは腰から下がいっしょ 腰から上はべつべつ 向かって右がナツ 左がアキ さておぼたちは肩を組んでくっつきあいながら物を売る ナツはアイスクリームを売る アキはイチジクの実を売る おぼたちは裸で抱き合いながら河原の茂みをかけてゆく ナツは銀色の首飾りを鳴らせて手に日本国旗をもっている アキは白い肌をむきだしに髪を風になびかせてる おぼたちはどうしようもないほどに眠たかった ナツはアキの手を頭にのせてもらって眠った アキはナツの胸に手をのせて眠った おぼたちは好きな動物が違った ナツは猫 アキは犬 おぼたちは朽ち果てかけているアパートの陰で立ってた ナツはアキの髪の毛をまさぐりながらアキの匂いを感じてた アキはナツの乳首に指を置いたままナツのしこりを感じてた おぼたちは信じているものが違っていた ナツはパンクロッカーに陶酔して様々な淫らな歌を歌ってた アキはクリスチャンでいつくしみ深きを常に繰り返し歌ってた おぼたちはセックスをとてもしたかった ナツがセックスをしているときアキは意識を遮断できるように訓練していた アキがセックスをしているときナツは意識を遮断するふりをして同時に快楽を味わってた おぼたちは嗜好物がけっこう同じだった ナツは煙草を吸って酒を呑んで少々覚せい剤 アキは煙草を吸い酒を呑み、でも覚せい剤はやりたくなかった おぼたちは見えるものが違っていた ナツは音に色が見えると言っていた アキは味覚に物質が見えると言っていた
おぼたちはナツとアキという名のフリークスメン。
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