ことばとこたまてばこ
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| 2006年09月07日(木) |
細江英公、球体写真二次元論から想う事。 |
薔薇をくわえた髭面の大きな男、 おかっぱ頭のちっちゃな女の子の頬をなでる。
毛を逆立たせながら田園を駆け抜けゆく、 無機質で剥き出しの真実という名の妖怪。 闊達に、 自由に、 そう容易く万人に姿を見られぬよう 用心深く透明に成り済ませ、飛びはねている。
だがしかし、
それをば写真という世界は四角い形相で淡々と軽々しく捕らえて た。
淡々と軽々しく、ね。
無機質で剥き出しの真実という名の妖怪はそのことに気づくがいなや、 手足ももげんとばかりに回転して、よりいっそう素早く田園を踏みつけていった。
それでもなお写真は、その真実を四角く捕らえてた。
それが幾百年前の出来事。残った写真に見ることのできる 無機質で剥き出しの真実の姿は、 非常にまっちろい右半分と、まっくろの左半分が合わさった くるりと見事な円を描く球体であった。
であった。であった。
球体の真実には幾筋ものぶっとい血管が這ってたぜ。 まったくその中身はどっくどっく根深く脈打っている血が詰まってたぜ。事後報告。
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