ことばとこたまてばこ
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| 2005年11月16日(水) |
一周年を祝して 『天 -2-』 |
路上にぽたりとおちていた仮面、 いちもんじにほそいまなこのふたつの穴、 やわらかいふくらみにうがたれたはなの穴、 穴のない口は食することができぬ、 雪のじゆんぱくにみちている、 おそろしいほどにやわらかそうな、 はだのいろをたたえた仮面。
じやんぐるじむのてつぺんから、 せきねんのひとりのくらしかみしめている、 でこぼこなじやがいもににたつらがまえの翁、 じゆんぱくの仮面をみつけた。
仮面をかむつた翁は、 或る魚屋にあつた烏賊の内蔵、 むらさきの肉のげんじつを、 ちゆうちゆうと口のなき口にあてて、 しやぶるまねごとつづけながら、 あばらにてうずきたつ弾痕、 くすりゆびでぬるぬるとさすつた。
しなだれる空のこんぺき、 もたれかかる壁のおうとつ、 せまるあつぱくの空気。
うすい不げんじつに、 つつまれて、 つつまれて、 つつまれて、 つつまれて、 こえもきけずに、 だせずに、 蕎麦屋ののれんだけが、 はたはたはためいて。
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