ことばとこたまてばこ
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| 2005年11月17日(木) |
一周年を祝して 『天 -3-』 |
ぐむりぐむりとおとずれた夜、 うすくほほえみながら、 ながくねむつている少女のむねに、 はつきりとまつかな薔薇いちりん。
あれはあかるいゆうぐれだつた、 時計の針は四時二十八分をしめして、 けつたたましいサイレンひびいた。
その日のくうきは渇いており、 けつたたましいサイレンをはるかな果てまで、 たからかにたからかにたからかにならし、 かげの浸食をつげた。
ぬるりぬるりとおとずれたかげに、 足をとらわれてよりめざめることのしらぬ、 まつかな薔薇をだいた少女の、 母親は自宅ですつぱい酸味あふるるみかんの皮を、 ぶつりと、 やぶいた。
少女のくつがかつてにおどりだす神無月、 父親はつめたくこごえたはむすたあへ、 あつき情をささげた。
うそのようなほほえみたたえて、 少女はねむつている、 たたえつづけながら。
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