ことばとこたまてばこ
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2005年08月29日(月) 狂わないで 神さん

おちぶれた神さんは誰もが嫌がる死者の憎悪を一身に受けるデスクワークしてる。
タールにも似た悪臭を放つ魂はまじ汚らわしいわってゴム手袋でつまむ。ジャスミンの薫風漂わせる魂はまじ清らかだわあって舌なめずりしてつまむ。うわあ、うわあ、うわあ、やりきれねーよ。やりきれねーわ。息がつまってる。ふんくくん。


金曜日の夜は花の夜。後輩の女神様を傍らに、うははっ。えらいこと気持ちよいわ。神のみぞ汁という美味なる吟醸酒を摂取し続けて泥酔。


目覚めたらば 一体どうやって落ちてきたのか人間界。

富士山のふもとから優に上半身のぞかせてうろたえた神さん。
「罰せられる、罰せられる。極楽のような快楽の責め苦を受けてまう」
極楽のような快楽の責め苦とは、まあ一応神さんがいたところは極楽であって、煉獄のように血で血を洗うような野蛮な拷問が無い代わり、上にも下にもおかぬ至上でサイコーな苦痛の一切ない持てなしを一生涯、受けて、受けて、受け続けると、自らの肉体に痛みがなくなる。例え神々とはいえども数ヶ月快楽を貪ると自らの肉体を傷つけたくなるという衝動を覚える例がある。しかしいくら傷つけようとしても瞬時にどこからか天使が軽やかに虹色の粉を振りかけて治療してしまうので無くなってしまい、その果ては狂気しか残らない。
神さんは焦りにぶるぶる震えて爪を噛みながら足踏みをした。
すると天に雷鳴が轟き、地は未曾有の大地震。巨大津波。

おおよそ14万3858人が死に絶えた。

神さん、瞬時の出来事に眼を見張りながらも
「あはは、わたしってすごい」
と思って調子づいて立ち上がる。そびえ立つその御身は3776メートルの富士山がただの小山にしか見えないほどであった。そしてやおらに青森県付近を枕にしつつ寝っ転がった。背中がチクチクするわん、とくねくね寝返りをうつたびに地上では阿鼻叫喚。

おおよそ1億8746万3887人が死に絶え、息も絶え絶え。

「うふっ。あはっ。あははははは。ぴゃははははは」
何が可笑しいのかというと神さんはもはや自暴自棄となっていたのであった。つまりは狂ったのだった。ばふふんと吐き出す笑い声は数万人をつんぼにし、二日酔いと偏食につぐ不健康な生活と口内炎がもたらす口臭は広範囲に広がり、沖縄にいる犬も白目を剥いて反吐をまきちらし尻尾を突っ張らせるほどだった。

「ぴっちぱっちちゃっぷ らんららんらーららん」
まるで幼子のするように日本海をかき混ぜる。狂乱の津波に韓国、中国、朝鮮も水浸し。

「るんるるん らんららん うふふ あはは あーっはっはっはっはっは」
急に立ち上がるといとも可愛らしげに首をかしげたりしながらリズミカルに軽やかにスキップをして太平洋を渡る。

晴れた日に神さんは蒼い海と蒼い空の下で気味の悪い笑顔。


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