ことばとこたまてばこ
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| 2005年07月31日(日) |
ある翁の桃な詩による死 |
おうい おうい おうい 缶切りもってきておくれや おうい ここで待っているぞ おういおうい おなごの腿も 桃太郎も モモを食したいよう ってほらほら あんなにさけんでる おうい おうい おうおうい おーうい おえい おえ おえっおええええっ おぇっぷ おっぷ おうい おうい 霧のかかった部屋でキリを持ちながらキリキリとおすましよ 缶切り はやくもってきておくれや
翁はしこたま酔いながらもモモの缶詰を開けようと ちゃぶ台に散らばった発泡酒の空き缶を両手に持つ箸でけたたましく鳴らし、 台所で洗い物をしている息子の背に向かってはやしたてる。
ようやく息子が持ってきた缶切りで縁に穴を刻むと、 甘い桃の汁の匂いが鼻腔をクスクスくすぐった。 辛抱がならず卑しい様で汁を全て飲み干した。 べにゃべにゃする手で桃の身をつまんで囓る。
うめえなあ。くわんらくわんらと大声で笑う。 まったくじんじんする甘さだなあ。じんじんする。 ほんとうに頭がじんじん。
息子の手は洗剤の泡にまみれてた。
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