日常のかけら
目次backnextclose


◇残った痛み◇

初めて自分の感情のままに悟空を殴った。
苛ついていたのは事実で、放っておいて欲しかったのだ。
全てが鬱陶しくなって、何もかもが嫌になるそんな時は。
弱い己を受け容れるそんな時は。
あの明るさが、あの眩しさが疎ましくて。
身勝手な気持ちだと解っていても止めることは出来なかった。

叩き付けるような雨の音に重なった頬を打つ音。
見開かれた金瞳が瞬く間に歪んでいった。
傷付けたかった訳ではないのに。

あいつを殴った手が…疼いた。

(三 蔵)

2006年03月20日(月)