初めて自分の感情のままに悟空を殴った。苛ついていたのは事実で、放っておいて欲しかったのだ。全てが鬱陶しくなって、何もかもが嫌になるそんな時は。弱い己を受け容れるそんな時は。あの明るさが、あの眩しさが疎ましくて。身勝手な気持ちだと解っていても止めることは出来なかった。叩き付けるような雨の音に重なった頬を打つ音。見開かれた金瞳が瞬く間に歪んでいった。傷付けたかった訳ではないのに。あいつを殴った手が…疼いた。(三 蔵)