雨が降ると三蔵は無口になる。何だか物憂げで、何処か寂しそうで悲しそうで…かける言葉が見つからない。ねえ、傍にいてもいい?雨は優しい歌声で大地を自然を潤し、慈しんでくれるんだよ。だから、恐れないで。疎ましく思わないで。ねえ、三蔵…傍にいさせてね。窓辺で片膝を立てて、そこで頬杖ついて外を見てる三蔵の傍にそっと近づいて───「…雨、止まないね…」かけた声は薄く曇ったガラスに当たって流れた。(悟 空)