便利なものはなんだって、使い方を誤ればすぐ凶器になりますな。
19歳の息子が昨年末に車の免許を取得して以来、当然ですが、心配ごとがひとつ増えましてん。
取得直後は、夜の運転はあぶないー、雨の中の運転はあぶないー、友達は乗せるなー、と
うるさく言いまくる母に、「それじゃ免許取った意味がないだろ」と反論しておった息子。
そりゃごもっともなのだが、言わずにはいられんだろうが。
では、と、一万歩くらい譲って「電柱に擦るとか、柵を曲げるとかは大目に見るが、とにかく人を轢くな。
そのためには、調子に乗ってスピードを出しすぎないこと、人を乗せたときにおしゃべりして
前方不注意にならないこと。スピードさえ出してなければかなりの危険は回避できるのだ」と、しつこい母。
「わかってるよ。そもそも俺みたいなチキンがスピード出しすぎるとかないから」と、息子。
おお。チキンばんざい。チキンぶらぼー。
ドライバーはチキンなくらいで丁度よいのです。
そして、取得直後からこの長い春休みの間も精力的に乗り回し、
高速にも臆せず乗るわ、友人たちのアッシーにもなるわ、
ナビを駆使して全然知らない場所にも遠出するわで、
母のぎこちない運転技術などは瞬時に超えてしまいましたわ。
そりゃそうよね。
いつもは電車でちんたら行っているわたしの両親のお墓参りにも、
「俺が運転して乗せてってやるけど?」などと生意気なことをのたまうので、
どれどれお手並み拝見、と約1時間半の道のりを連れてってもらったら、実に安全運転。
墓前で「俺が運転してきましたー。そんくらいデカくなりましたー」と、
得意げに報告する確かにデカくなってしまった奴でした。
若干感慨深かったことは息子には言わないのだ。
そしてこれからも、運転で調子こきそうになったら脅してやるのだ。
しかし、今までドライバーは35歳以上だけだったわが家の自動車保険に19歳を追加したら、
保険料が軽く倍になりましたよ! びっくりだよ!
その値段を見せて「これだけ若者の運転は信用されていないのだから、くれぐれも心するように」と、
やはり脅すことはやめない母なのだった。
っていうかさ、交通事故の被害者になるのももちろんすごく怖ろしいが、
加害者になるのはそれ以上に怖ろしいのですが、無謀な運転をする人たちはそうは感じないのだろうか。
人の命を簡単に奪ってしまうかもしれない、身体の機能をすべて奪ってしまうかもしれないのに。
そして加害者になった自分の人生だって一変するのに。
自分の運転技術や注意力をそこまで過信していられるって、迷惑な能天気にもほどがある。
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