今日のおたけび または つぶやき

2007年01月25日(木)  「朧の森に棲む鬼」ふたたび

昨日は二度目の「朧の森に棲む鬼」観劇。

やはり最高に素敵でした。嘘つき大王の染さまも、キンタのサダヲちゃんも。



11日に初めて観た時は、2幕でキンタに訪れる運命に、

キンタがこんな目にあってしまうなんて・・・あんなイイヤツが・・・大好きなキンタが・・、

キンタがいないなんて寂しすぎる・・・と、真剣にヘコんでしまい、

もう2幕ずっと観てるのしんどいかもーーーー と、

2幕の途中から気分が投げやりになりかけたほどだったのですが

(我ながらこの単純で激しい感情移入に呆れる)

今回は、結末がちゃんとわかっているだけに安心して観られました。



ネタバレなしでハラハラどきどきしながら観るもよし。

結末がわかっていても、もう一度じっくりじっくり味わって観るもよし。

どちらにしろ全く飽きさせない、本当に面白い舞台です。



心に残る名セリフもいっぱいあったんだよなー。

忘れないうちに書き留めておかなくてはと思っております。



それにしても、このライという大嘘つき、本当に悪い奴なのだがどこか清清しい。

騙す殺すなどの動悸には、例えばひどい劣等感とか極端な被害者意識とか、

そんなものが下敷きにあって、自分をそんな目にあわせた世間への復讐、みたいな

ものがどんどん加速していって・・というような図式が浮かんでしまうのだが、

ライの動悸にはそんなものは一切ない。



森の朧たちに「望みは?」と聞かれたときも、「明日のメシと少しの小銭」と

答えたくらいで、もともとそんな野望を抱いていたわけでもない。

それなのに、まるで「オレは100メートルを5秒で走る!」くらいの

唐突さで「オレは王になる」と決め、朧たちと命の取引をした途端、

まったく何の邪念もなく、王になることだけ目指して

騙して騙して裏切って裏切って殺して殺して殺しまくる。

その一点の迷いもない姿が、むしろ清清しく見えてしまう。



しかもその男は「その大きな手、澄んだ瞳」と言われるような長身の美貌だし、

「美しき獣」と言われるほどに力強く美しい太刀さばきを見せたりするし。

だってこれ、たとえばあのでっぷり貫禄のある古田新太氏だったら

なんだかもっとこうドロドロした複雑な感情が入った悪役になりそうだし、

サダヲちゃんとかだったら思いっきり客の同情とか買ってしまいそうだし。

清清しいまでの徹底的な悪役になりきれる人はそうはいまい。



見た目全く非の打ち所のない凛としたオトコマエを演じきれる染さまでこそ

成立する役だな、としみじみ思います。



雑誌に載ってるスーツ姿の染さまを観ても、なーーんも思わないのだけどね。(失礼)

舞台に立ってる姿はもう本当に惚れ惚れするほどカッコイイ方ですな。

もう完敗。本当に完敗。かなわねー! この華とこのダイナミックさにはかなわねー!

さすが「新感線」を「新感染」と変えさせてしまっただけのことはある。

(染五郎主役の時限定の呼び名だが)



が!



舞台にひょいっと現れた姿を観ただけで、「うわーい!」とテンションいきなり最高潮

になれるのは、わたしの場合、サダヲちゃんなわけで。(この舞台に関しましては)


昨日も、客席の通路に現れてホラ貝型マイクで「われら検非違使!」と熱唱しつつ、

客の耳元に「検非違使です」と、ちっちゃくちっちゃく囁くキンタを観て、



ぜってー好き!!  とにかくコイツ大好き!!



と、コブシ握り締めてしまったわたしです。

それ以外でも、面白いシーンでも哀しいシーンでも、

どんなキンタ観てもとにかく大好きで。

かといって、サダヲちゃんの写真集めようとか、大阪公演まで行こうとかは

まるで思わないのですが。



でもものすっごい好き。

なんなんでしょうねー。好きにもいろいろあるんだね。



そうそう、「アオドクロ」の時と同じく、

染さまの奥様が開演前にロビーでご挨拶に立っておられるのを2回とも観ましたが、

ひょっとして全公演ご挨拶に立たれているのでしょうか。

梨園の習慣なのかしらん。


いつ見ても楚々とした綺麗なたたずまいの奥様で、

舞台の上の染さまの姿が凄まじく壮絶なだけに、

あの壮絶さをこの楚々とした姿が支えているのね、と思うと、

なんとなく染さまの好感度がさらにアップ。


イイ男にはイイ女がついていてほしいっすね。舞台の上でもそれ以外でも。



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