漢字能力検定試験協会とやらが、おもしろ誤変換コンテストをやったというようなニュースを聞いた。 今年から海外に住み始めました 帰省中で渋滞だ 見に来てくれてありがとう というのが出ていた。 ・・・はい、はい、おもしろいね、おかしいね。 でも、私は今日もっと呆れたのにめぐり合った。 「八木」と題された一文、 イデ其時の大事は江戸に灰ふり、難波に津波、京に大火事、町々子ともにいたるまで相違あらざる自身番、安堵に棒杖畏れ入 江戸時代、宝永年間の災害を述べたものだが、きっと何かのパロディだと思った。 ところが元が何かとんと見当がつかず、 八木節と関係があるのかしらん、と思ったり、 ヤギ、ヤツキ、ハチキ、ハッキ、ハチボク、などと いろんな読みを考えて辞書をひいてみた。が、どうもぱっとしない。 ハチボクは米のことかあ、なんて、もそもそ考えていたら、 ひらめいた! ハチノキ! これなら謡曲にある。 「八木」=「鉢木」で、大成功。 それにしても「鉢木」を「八木」と書く? 漱石先生が「秋刀魚」を「三馬」と書いたとかいう話はあるが、 「すは、鎌倉」の「鉢木」だよ・・・eight trees じゃしょうがないでしょう。 誤変換とは呼べないにせよ、この程度の誤記は昔っからあったということ。 そして、たぶん、昔の人は「誤」なんて気持ちはなかったのだ。 「鉢」よりは「八」のほうが、画数が少なくて楽だものね。
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