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『シティ・オブ・ボーンズ』
熱心なファンというわけでもないが、推理小説は時々読む。30年近く前、「推理小説って面倒!」と断言したら、今は亡き某先生から「そんなこといっちゃだめだよ」とエラリー・クィーンを教えられた。(クリスティも教えられて一通り読んだが、こちらは好きになれなかった。)
ここ10年ほど(もっとか?)は、女流を読むことが多くて、サラ・パレッキーにはかなり入れ込んだ。コーンウェルは最初はよかったけれど、もうどうでもいい・・・推理小説ってシリーズものになってくると、登場人物が増えてきてつまらなくなるような気がする。メアリ・ウォーカーはパレッキーの次に好きだが、新しいのが出ていないので残念。
そんな程度で、推理小説ファンとはとてもいえない。この『シティ・オブ・ボーンズ』については、女流でもないし、とりたてて買う理由なんかないのだが、なんとなく買ってしまった。面白かった。トリックが、というより、主人公を含め登場人物が魅力的に書けているように感じた。「ハードボイルド」のうたい文句がついていたけれど、そうなのかなあ?恋が実らないのをハードボイルドというのなら、そうかもしれないが、結構ウェットな話である。
それにしても、最近のものって、売春や麻薬どころではなく、小児性愛だの児童虐待だのと出てきて、ネタ的にはどうも楽しくない。犯人探しで引っ張られて読み進むのは面白いのだが、そんなことをネタにして面白がっていていいのか、と思うと、少なからず後ろめたい。世の中が陰惨になることで、新たな犯罪の方法を小説に提供できるとすれば、日本社会も一役買えることは間違いない。そしてまたそれをヒントに犯罪が再生産されるのだろうか。そんな風に考えていくと、読書というものもきわどいところにあるのだね。だからといって、検閲や規制は困るのだけど。
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