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『江戸奥女中物語』
2005年06月07日(火)

『江戸奥女中物語』  畑尚子

講談社新書だから、結構面白おかしく飛ばしているのかなあ、と思いきや、歴史の人の真面目さがにじみ出ている。言い換えれば、「物語」というほど面白くはない。その分、はったりがない。歴史の本である以上、「確か」なことと、そうかもしれないことの区別はとても大切だが、この本はそのあたりに節操が感じられて上々。

大体、大奥だの奥女中だのというと、芝居などに出てくる、ひどくドラマチックでいつの世ともしれぬことを、そんなもんだと勝手に思い込んでいるのではなかろうか。

本書では、主に、幕末、多摩地域の名家(といっても富裕な農家だが)から江戸城に奉公にあがった娘たちの手紙をもとに、その暮らしや制度をとりあげている。後半では出世すごろくなども引き合いに出され、一生懸命、面白くしようとしているのだが、たぶん著者の真面目な人柄ゆえ、無責任な想像をあおって読者を喜ばせることが出来ず、ある意味では、素材を生かしきれていない。だが、面白おかしいものは、いくらでもほかで見られるのだから、簡単に手に入る形で、わかっていることよりわからないことのほうが多いのだ、ということを示す不器用な本があってもいいのではないかと思う。




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