ミケランジェリのCDを昨日初めて聞き、今日もしつこく校正をしながら聞いた。校正ってほんとに嫌な仕事だと思う。旧悪を暴かれるどころか、恥さらしの場を自分で用意して、客席の掃除をしてまわるような・・・。高揚した気持ちで校正が出来る人っているのかなあ。爪の垢ください。 校正にせよ、読書にせよ、言葉に関わる仕事をしているときに、歌詞のついた音楽は絶対邪魔になる。どんな仕事であれ、静かなほうがいいという人もあるだろうけれど。 私はピアノはよくわからないので、基本的に手を出さない。大体、そこまで手を出したら破産確実。だから、お誕生祝いにこれをもらったのは大変うれしかった。そういえば、う〜〜〜んと昔、30年前のお誕生日、ピリスのひくモーツァルトのピアノソナタのレコードを兄にもらったことがあったっけ。 モーツァルトのニ短調の協奏曲は大昔に買った若きアシュケナージの力演を持っていたのだが、全然違うので、はぁ、と驚いた。ミケランジェリのはもっとエレガントで、モーツァルトらしい軽やかさにあふれるのですね。オケ(NDR)も柔らかい音色でピアノを支える。おどろおどろしくないのです。 そこそこの日常を送る中で、ある瞬間に足元の闇に気付いてはっとするように、光の中の翳を感じるからこそ人は不安感にめざめるのではないかしらん。この曲は明るく、情熱的なパッセージもあるのに、不安感がどこかしらつきまとう、そしてたぶんそれがミソなんでしょうね。モーツァルトはもちろん、ミケ氏なかなかの巧者。今更そんなわかりきったこというな、といわれそうですが。若きアシュケナージは力技のように響きます。 モーツァルトのピアノ曲って一念発起すれば、私にもひけそうなくだりがあるみたい・・・でも、きっと、彼我の差を痛感して終わるのでしょうな。誰でもひけるようなところこそ、プロの芸の見せ所ではあるまいか。アクロバティックなところは、上手な素人なら真似ができるに違いない。
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