『その名にちなんで』 ジュンパ・ラヒリ これがラヒリの第2作・・・見事なものである。『停電の夜に』は短編集だったが、こちらは長編。 ロシアの文豪ゴーゴリにちなんで、そう名づけられたアメリカ生まれのインド人青年の歩みを中心に据えつつ、カルカッタからアメリカに移住した家族の歴史を語る物語。 ベンガルの文化を背景に生きる両親、それに反発して模索する第2世代の主人公たち。その対立の構図があからさまに語られるのではなく、家庭内ではこんなふうに妥協しているのだろうなあ、と親にも子にも同情したり、共感したりしながら、非常に現実的に読める。誰しも妥協はするが、内心の葛藤をなくすることはできない。読了したときには、ゴーゴリの生だけでなく、両親の生にも胸が熱くなった。 家族とは何か、自分が背負わされている文化は自分をどう縛るのか、人と人との結びつきにどう影響するか、本当にリラックスして受け入れられるものは何なのだろうか、自分はどうやって自分になるのか、といったようなことを、理屈とは離れたところで考えさせられる。 題名の通り、ゴーゴリという名前が彼にもたらすものは非常に大きい。いろいろな出来事がその名に凝縮されているし、そこから拡散してもいく。さまざまなエピソードが決して無駄にされずに、後で生かされている。その丁寧さに感心した。 新潮社
★★★
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