夕方、一回帰宅してお犬さまのお世話申し上げてから、改めてサントリーホールまで足を運ぶ。なんたって、今日はカヴァちん(レオニダス・カヴァコス)がN響とコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲をやるのである。実はバレンボイムよりもこちらのほうを楽しみにしておりました。 1曲目はウェーベルンのパッサカリア。私風情がこういっては申し訳ないが、頼りなげな演奏で、pのところなど、演奏しているほうもこわごわなんじゃないの?といいたくなるほど。出だしのピチカートもおっかなびっくり。そのくせ指揮者のノセダ氏は長い手足(足もだ)を縦横に動かしながら、まるで蜘蛛が踊るように指揮をする。こっちのほうに現代の不気味さを感じましたね。激しいところは渋谷の交差点を彷彿とさせる曲でした。 2曲目がお待ちかね、カヴァちん。カヴァちんは巧いです。ヴェンちゃんのようなフィドラー的器用さは感じないけれど、勉強して、練習して、自分の音楽をやっています、という確かさがあります。男性的なしっかりした音色―一つ一つの音にボディがあるっていうかな―で、かつ流麗。3年前にバッハの無伴奏を聴いて以来のファンです。(このときN響とはメン・コンをやって好評だった。) さて、カヴァちんのコルンゴルト、はね弓のぞくぞくするような巧さを初め、豊かなヴィブラートといい、まったく満足です。ですが、オケがちょいと散漫であったような・・・残念でした。この間のSKBあたりとやってほしいなあ。 コルンゴルトの協奏曲は20世紀のものといっても、ずいぶん親しみやすいテーマでメロディックなところも多く、聞かせどころもあるし、もっと人気が出てもいい曲です。 アンコールはパガニーニ24のカプリース9番。聞けば、誰でも、ああ、あれかと思うようなお馴染みの曲。前日のアンコールはイザイだったという噂だぜ。そっちが聞きたかったぞ。 カヴァちん、ちょっとやせて、ほんの少しだけ額が広くなって、前より垢抜けたことも書いておこう。衣装の趣味もヴェンちゃんより○。 と、ここまで聞いて、N響だけのチャイコフスキー2番は捨てて帰宅。お犬様大事で、綱吉から表彰状がもらえそうな我家。赤坂は雨、うちに着いたら雪。明日は国立の入試だと思うけど、お気の毒様。
|