今日は歌舞伎座夜の部でたっぷり仁左衛門さま♪を見た。 「じいさんばあさん」原作は森鴎外なんだそうだ。 前半、まるで安っぽい時代劇を見ているような台詞まわしで、ちっとも歌舞伎らしくない(今思うに、義太夫や長唄といった音曲がはいらなかったせいかも。派手なシーンはないし、歌舞伎を無理して現代劇に仕立てたみたい)。 こんなもの見ることにしてしまったな〜、と思いながら、伊織が仲間を斬って37年間の遠国預りの後、ようやくもとの家に帰ってきた後半に入る。そうしたら、なかなかいいおじいさんで、歌舞伎的な仕草の面白さもあり、相手役の菊五郎のおばあさんもよろしくて、ついつい、不覚にも涙ぐんでしまった。辺りにもハンカチを取り出す人が何人かいた。 「新版歌祭文 野崎村」は人間国宝揃い踏み、言い換えれば、老人会演劇部。雀右衛門、芝翫、富十郎、田之助で、一番若い人が72歳!芝翫なんていいと思ったことなかったけれど、今日のお光は好きでした。じいちゃん長生きしてね。1月の国立劇場で雀右衛門を見た人が「花道で腰掛けてた・・・もうダメだから、見ておくべきだ」といってくれたけれど、今日は大丈夫そうだった。お染だから、まあ前半だけちょっと頑張れば、あとはほとんど座っているだけだからかな。 「二人椀久」は仁左衛門と孝太郎の踊り。踊りの得意な人に「仁左衛門さんは踊りだけはいただけないわね」なんて聞いていたし、大体、私は踊りのよしあしなんてわからないから、踊りのときは睡魔に身をまかせている。でも、今日の「二人椀久」はパントマイムみたいなところがあるから、案外面白かった。二人並べれば、パパ仁左衛門がうまいことは一目瞭然。孝太郎はかわいい・・・ただし遊女松山って顔ではない・・・もっと素朴な娘役が似合いそう。かつての玉孝コンビでよくやった踊りらしいけれど、そりゃあ今日だって玉三郎さんが出たら、どれほどよかったことか。 さて、挨拶したくなるほどの近距離で、菊五郎夫人=藤純子(今は富司だっけ?)を見た。菊五郎が出るときは必ずといっていいほど、来ているみたい。今日は菊之助も出ていたしね。きれいはきれいです。でも、素人があのお肌になったら、ああいうお化粧はしないだろうな、と思った。 勘九郎の襲名ポスター、初めて見た。勘ちゃん、かっこいい。年のせいか、先代の面影がはっきり顔立ちに出るようになって、そこで襲名って私程度にもなんともいえない感慨。
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