書泉シランデの日記

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勉強になりました
2005年02月05日(土)

『本居宣長 言葉と雅び』読了
宣長の国語研究を彼の思想中に位置づけた論考。数日前にも書いたけれど、最終的に、精緻な国語研究をしたからこそ、宣長は古代語こそ日本語のあるべき姿(=音韻変化や文法変化のない規則性の整った言語)という認識にいたり、そこから敷衍して日本古代を理想的な世だと捉える思想に到達した、という分析がとても面白かった。国語研究の緻密さと単純な国粋性から免れない思想傾向がいかに両立するか、がたんねんに考察されているのである。

無味乾燥と思われがちな文法研究だけれど、それを積み重ねていくうちに、意外なほど人間的な溌剌とした精神が涵養されるものであるなあ、と改めて感心。あるいは、むしろそうした精神がなくては研究はできない、というべきか。宣長の思想が国語研究に比べて荒っぽい印象を与えるのは、中国語研究をする環境が整わなかったからかもしれない・・・今ならなんとでもなるのに、当時宣長が獲得できた中国語(漢文)の知識では、あまりにもお粗末な中国語認識にしか到達できなかったに違いない。当然、日本文化が中国文化を凌ぐことになる。

とにかくいい読書ができました。

ヲタ息子が北村夏とかいうマンガ家の『私に似た人』というのを、「これ面白いから読んでみな」と置いていった。私この頃、マンガ苦手なんだけどなあ・・・外国暮らしで1年半遠ざかったら、見事マンガ読書力が低下して以降回復しなかった。ちょっと前に『黄昏流星群』をどっかの待合室で読みましたが、キライです。あれを『中年流れ星』と覚えていて息子に訂正され、やっと最近、正しい題名が一人で言えるようになった。『夕凪の街』は息子に読まされ、ま、いいんじゃない、不足に思うところはあるけど、というような読後感。若い頃と同じような感動はありえない。





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