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ブラームスはお好き?
ヴェンゲーロフのヴァイオリンって人をとやかくいわせないようなうまさがある。(とやかくいう人は、テクニックがあるからって、そこまでやる必要はない、という類のことをいう。)私は「ブラームスはお好き?」ではない人間なので、ブラ・コンにもそれほど心は動かないのだが、ヴェンちゃん×バレンボイム×シカゴ響のは、CDで聞きながらも、思わず聞きほれてしまう。わざとらしく注意をひくような小細工は一切ないし、技巧的な部分も技巧でなく音の流れとして自然に聞かせてくれる。ヴェンちゃんに問題があるとすれば、やっぱりうますぎて、努力のあととか、選曲の方向性に対する姿勢とか、そういう人間くさい面白さがないところだろう。(ただしヴェンちゃん自身には十分普通の人っぽい面白さを感じる。)
『ブラームスはお好き?』って今でも新潮文庫であるのかしら?昔は確かベルナール・ビュッフェの絵(あるいはビュッフェ風の絵)がカバーについていたような気がする。タイトルなんて直訳のまんまだと思うが、70年代にはおしゃれだったよね。サガンもひところは女子学生の必読図書だったが、いつの間にか、あまり見かけなくなった。特に時代性が色濃いような話だったとは思えないが、いったいどうなっちゃったんだろう?今読むとどんな感じがするだろう?
忘れっぽい私は、今後一切新刊なんか出なくでも、昔読んだ本を読み返すだけで十分死ぬまで満足できそう。でも、昔読んだ本が姿を消したら、たちまち何を読むかで困ってしまいそうだ。これを裏返せば、新刊にはいかにつまらない本が多いか、ということでもある。
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