 |
 |
■■■
■■
■ ドイツW杯決勝、イタリアがフランス破り優勝
2006年07月09日(日)
サッカードイツW杯の決勝が日本時間の10日午前2時から始まり、イタリアがPK戦の末にフランスを破り、通算4度目のW杯優勝を手にしました。これは最多の5回優勝のブラジルに次ぐ快挙です。
フランスは前半、ジダンのPKで先制しましたが、すぐにマテラッツィのゴールで同点に持ち込まれました。両国は1−1のまま後半に折り返しますが、決着が着かず延長戦へ。その延長戦でも両国とも勝ち越し点が挙げられない中、延長戦後半にマテラッツィに刺激されたジダンが何と頭突きでマテラッティを倒すという反則を犯し、現役として最後の試合をレッドカードの一発退場という最悪の形で終えることになってしまいました。 試合は延長戦を含めた120分間を戦っても決着は付かず、PK戦に突入。イタリアはピルロ、マテラッツィ、デ・ロッシ、デルピエロ、グロッソの5人が全員決めましたが、フランスは2人目のトレゼゲがシュートをクロスバーにはじかれ、これが勝敗を決しました。
イタリアは優勝にふさわしい戦いぶりを見せたと思います。キーパーのブッフォンを初めとした鉄壁の守りが今大会を通じて光っており、決勝戦では前半にPKによる失点を喫しましたが、その後もあきらめずに反撃し、ボールを支配して、フランスのマークをことごとくかわしていきました。この勢いでイタリアは前半19分、ピルロの蹴ったコーナーキックに、マテラッツィが頭で合わせてボールをたたき込み、同点に持ち込みました。
このイタリアの同点弾によってフランスに火がつき、その後フランスは見事なパスワークを見せて果敢にゴールを狙い、後半はフランスの一方的な攻撃に終始しましたが、ブッフォンがスーパーセーブを見せてフランスのゴールを阻みました。そして延長戦、フランスの優位は変わらなかったのですが、両国とも得点を挙げられず迎えた延長戦後半5分、フランスの主将ジダンは、マテラッツィに侮辱されて張り詰めていた緊張の糸が切れたのか、突然相手の胸に頭突きを与えて倒してしまいました。これでジダンは一発退場、ビエイラも負傷で交代していたフランスは、キーパーソンのジダンを欠き、後のPK戦に欠かせないキッカーを失ってしまったことになります。
結局これが大きく勝敗を左右し、フランスはPK戦の末にイタリアに破れ、目の前にあった優勝を逃してしまうこととなりました。一方のイタリアは、1994年のW杯決勝でブラジルにPKで敗れ、ユーロ2000でもフランスにPKで敗れた無念をここで晴らしたことになります。イタリアの優勝は1934年、1938年、1982年に続いて4度目となります。
何という大波乱の決勝戦でしょうか。まさかこのW杯を最後に現役を引退するジダンが、その最後の花道を退場という後味の悪い結果で終えてしまうとは……。しかし、ある意味こういった幕切れも、ジダンの波乱の選手人生を凝縮していたような気がします。 一度はフランス代表から退いたジダンですが、チームのために代表に復帰し、フランスの再生に貢献し、今大会でも決勝戦までチームを牽引してきた立て役者でした。そのプレーは、まるでボールが足に吸い付いているかのような美しいプレイで、今大会でも何度となく観客を魅了してきました。誰もがそのジダンの芸術的プレイを最後まで見ていたかったに違いない最終戦で、思いも寄らぬ退場劇。ジダンの反則行為には誰もが目を疑ったことでしょうね。ほんの一瞬の出来事でしたから、僕自身も何が起こったのかまったくわかりませんでした。
ジダンは背後からマテラッツィに何かを言われ、それに反応して振り返り、そのままマテラッティに歩み寄り、突然彼の胸に頭突きを食らわして彼を倒してしまいました。ジダンはこの事に関して終始無言を貫き、一体何があったのかということは想像の域を出ません。マテラッツィが差別的、あるいは屈辱的な暴言をジダンに対して吐いたという憶測も広がっていますが、今のところその真相は闇の中ですね。
もちろん試合中に相手選手に対して暴力行為を働くなんて事は、スポーツとして決して許されるものではなく、そう言う意味ではジダンの行為は冷静さを欠いた大きな過ちだったといえるでしょう。しかし、そんなことはジダン自身も百も承知のことで、しかも自らの現役最後の引退試合、それもW杯決勝戦の延長戦後半という超大舞台でジダンがこのような行為に及んでしまったということは、それだけジダンにとって許し難い“何か”があの瞬間、マテラッツィとの間であったということなのでしょう。ジダンが入退場口の中央に置かれた優勝トロフィーの横をすり抜けてピッチを後にした時に見せた涙が、それを物語っていましたね。
ジダン自身がこの件に関して何も語らないとすれば、当然もう1人の当事者へ目は行きます。W杯を勝ち取り、決勝戦でイタリア唯一のゴールを挙げたにも関わらず、マテラッツィのもとには真相を求めるジャーナリストが殺到しました。しかし彼はその回答を拒絶して「バイバイ、じゃあね」と叫んで去って行ったそうです。今大会を持って現役を引退するジダンが今回の反則で何試合の出場停止になるかなどということは、もはやどうでもいいことです。この真相をいつ明かすのか、誰が明らかにするのか。ジダン、カンピオーネ(偉大な選手)のキャリア最後の汚点をいつか晴らしてもらいたいものですね。
|
|
 |