Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1第7戦モナコグランプリ(決勝)
2006年05月28日(日)

 伝統のモナコグランプリ決勝は、昨日お伝えしました通り、ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)が予選タイムを剥奪されて最後尾スタートとなり、チームメイトのフェリペ・マッサが昨日の予選でクラッシュしたため同じくノータイムで、何とフェラーリの2台が最後列からスタートするという異様な光景となりました。シューマッハはスタート時の混乱を避けるためピットスタートを選択しました。
 これにより、ポールポジションからスタートするのはポイントリーダーのフェルナンド・アロンソ(ルノー)となり、マーク・ウェバー(ウィリアムズ・コスワース)、キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)、ファン・パブロ・モントーヤ(マクラーレン・メルセデス)と続きます。

 周知の通りモナコは狭い市街地コースのため、コース上でオーバーテイクするのは非常に困難ですが、アロンソはスタートでトップをキープするものの、2周目に3番手を走行していたライコネンが、ボー・リバージュで先行するウェバーをオーバーテイクし2位に浮上します。さらに後方ではピットスタートのミハエル・シューマッハが積極的に下位マシンをパスして鬼神のような追い上げを開始します。
 アロンソとライコネンのトップ2台は、ほぼ互角の速さで激しい接近戦を繰り広げながら周回を重ねていきましたが、23周目にまず2位のライコネンがピットインし、ウェバーの後ろでコースに復帰。2周後にアロンソもピットストップを行ない、ライコネンの前でコースに復帰してトップを守ります。それぞれ1回目のピットストップが終わりますが、上位3台の順位は変わらず。

 ところが、残り30周というところで3位ウェバーのマシンから煙が上がり無念のリタイア。さらにマシンをコース上から撤去するため、セーフティカーが導入されます。トップの2台も含め、2回ストップを予定していた各マシンは、ここで一斉にピットへ向かいました。しかしセーフティカーが先導していた51周目、今度は2位のライコネンのマシンからも白煙が噴き出てしまい、トップとの差は僅かであったにもかかわらず、ライコネンもコースから姿を消してしまいました。

 これで残りの周回は、ライバルの消えたアロンソが悠々の走行でモナコで初のトップチェッカー。アロンソは今季4勝目を挙げ、今シーズンはここまでの7戦で1位か2位という非常に安定した成績を維持し続けています。最後尾からスタートしたミハエル・シューマッハは、得意のモナコで猛追を見せて5位入賞。貴重な4ポイントをものにしました。

 何と言っても悔やまれるのは、シューマッハの最後尾からのスタートですね。昨日の予選終了間際に馬鹿なことさえしなければ、ポールポジションはアロンソに奪われていたかもしれませんが、フロントローからのスタートは確実だったでしょう。そして最後尾からスタートして5位まで追い上げたのですから、フロントローからスタートしていれば間違いなくシューマッハが優勝し、アロンソとのポイント差を縮めることができたはずです。自業自得とは言え、シューマッハが得意としていて、しかもアロンソが苦手としていたモナコを落としてしまったのは、シューマッハにとっては痛かったですね。

 本来はシューマッハが優勝し、アロンソが2位だったとしてポイント差を13に縮めたかったにもかかわらず、現実はアロンソとの差が21ポイントとさらに開いてしまう結果となってしまったわけですが、アロンソがここまで毎戦表彰台に上がり確実にポイントを伸ばしているだけに、シューマッハが自力でポイントで逆転することがますます難しくなってきました。まだレースは後11戦ありますが、シューマッハにとっては、もう取りこぼしは許されない時期に入ってきていますね。
 幸いなのは、チャンピオンシップを争っているルノーとフェラーリが、ともに信頼性に優れているという点ですね。これによりタイトル争いは終盤に向けて、ますます面白くなっていくことでしょう。

 それに引き替え、マクラーレンとウィリアムズは散々でしたな。特にウィリアムズは今回のモナコでウェバーが久々にフロントローからのスタートとなり、2周目にライコネンに交わされて3位に交代しますが、その後もハイペースで周回を重ね、久々の表彰台かと思われましたが、48周目に排気系トラブルでリタイヤ。8番手スタートだったチームメイトのニコ・ロズベルグも51周目にリタイヤし、ウィリアムズは2台とも全滅となりました。
 そしてアロンソとテール・トゥ・ノーズでのトップ争いを繰り広げていたライコネン、彼もまた2位表彰台は確実、あわよくばアロンソを交わして逆転勝利もあり得たものの、金曜日のフリーセッションで発生したのと同じトラブルでレースを終えてしまうこととなりました。
 マクラーレンは、マシンは速いがメルセデスエンジンの信頼性のなさが足かせになるというケースが多いですが、今回のトラブルは防熱装置の発火。しかもそのトラブルは金曜日の時点ですでに発生していたというのに、結局決勝でも改善されることなく、同じトラブルによってレースを棒に振ってしまうことになったわけです。情けないですねえ。必死に戦っているライコネンがかわいそうでなりません。

 今年のモナコは、ウェバーとライコネンがリタイヤした残り30周の時点で終わってましたね。これでシューマッハがフロントローからスタートしていれば、シューマッハとアロンソのデットヒートが観られたかもしれませんが、僕としてはアロンソ、ライコネン、ウェバーによる3台のデットヒートを最後まで観たかったですね。

 昨日の予選でのシューマッハの行動に関して、「故意にやったのではない」と言っているのはフェラーリチームと地元ドイツのメディアぐらいで、その他のチームやドライバー、それに各国のメディアは皆シューマッハを非難しているようですね。まあ、あれだけはっきりとした証拠があるわけですから、フェラーリやシューマッハ本人が必死で弁解しても、今回ばかりは言い訳できませんよね。

 仮にあれがミスだったとしても、あのタイミングで、しかもあんなところでシロウトのような凡ミスをしたシューマッハが悪い。いずれにしてもアロンソらの予選アタックを著しく妨害したのは事実であり、先入観がなくとも故意にやったとしか見えないですから、今回の予選タイム剥奪というペナルティは至って妥当なものです。



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