Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1第4戦サンマリノグランプリ(決勝)
2006年04月24日(月)

 昨日の日曜日は、F1第4戦サンマリノグランプリの決勝が行われました。ポールポジションからスタートしたフェラーリのミハエル・シューマッハはスタートでトップを守り周回を重ねますが、1回目のピットストップの後ペースが落ち、4番手スタートから2位に順位を上げてきたルノーのフェルナンド・アロンソに追いつかれ、昨年のサンマリノグランプリとまったく逆の立場での接近戦を繰り広げました。

 両者は第2スティントで長い間テール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げていましたが、後ろのアロンソがタンクに燃料を残した状態で先に2度目のピットインに入り、シューマッハのピットインによって前に出る作戦に出ました。ところがシューマッハもすかさず翌周にピットインし、またアロンソのアウトラップがそれほど速くなかったため、シューマッハはピットクルーの手際の良さにも助けられてピットアウト後も見事にアロンソの前に出ることに成功。
 2度目のピットインでアロンソの前に出られたのは、シューマッハにとっては大きな価値がありました。ペースは明らかにアロンソの方が速かったのですが、フェラーリは直線では速かったのでアロンソもスリップストリームに入るまでにはいかず、しかもただでさえコース幅が狭く抜きにくいサーキットで相手は巧者シューマッハ。さすがのアロンソも最後までシューマッハをパスすることはできず、そのままシューマッハが最後までアロンソを抑えきり、昨年アメリカグランプリ以来久々の優勝を手にしました。

 シューマッハの走りも見事でしたが、今回はフェラーリのチームワークの素晴らしさを改めて見せつけられましたね。そもそもフェラーリはここ本拠地できっちりとマシンを仕上げ、そしてシューマッハもティフォシの期待にしっかり応えてポール・トゥ・ウィンという最高の結果を出したところに、フェラーリの底力を感じます。やはりティフォシの力は絶大なんでしょうねえ。フィアットのルカ・モンテツェモロ社長も来ていたので、フェラーリにとっては天覧試合のようなものですからね。シューマッハの2回目のピット作業があとコンマ5秒遅かったら、まず間違いなくアロンソに前を行かれていたことでしょう。シューマッハが昨年サンマリノでのリベンジを見事に果たしました。

 3位にはマクラーレン・メルセデスのモントーヤが入り、フェラーリのもう一台フェリペ・マッサが4位。ライコネン、ウェバーと続き、予選2番手だったバトンは7位、予選3位だったバリチェロは9位ポイント圏外に終わりました。

 先ほどフェラーリのチームワークの素晴らしさを述べましたが、逆にホンダのピット作業は最悪でしたね。14、15周目に、バリチェロ、バトンが相次いで最初のピットインに入りましたが、バリチェロは給油に手間取り、その後のバトンも右リアタイヤの装着に手間取り、2台とも大きくタイムロスして順位を落としてしまいます。さらに30周目、バトンの2度目のピットインでは、給油作業が完全に終わる前にロリーポップが上がってしまい、バトンはノズルがマシンに刺さったまま発進。いったん止まって再発進しましたが、ノズルがホースからちぎれてホース内に残っていた燃料が飛び散るという醜態をさらします。飛び散った燃料に引火したら火災を起こしてしまう危険なシーンでした。これでバトンは8番手に後退。

 何だかシロウト集団のようなピット作業でしたね。しかも1レースで3度もミス、そのうち1つは単純なミスでありながら非常に危険なミスと、プロのF1チームにあるまじき失態です。コース上で1秒差を縮めるのが非常に困難な現代のF1で、ピット作業のミスであっという間に何秒もタイムロスして順位をとしてしまうわけですから、必死にレースをしているドライバーはたまったもんじゃないですね。ホンダにはいい加減ピット作業ぐらいまともにこなせるようになって欲しいものです。速いマシンや壊れないエンジンを作ることよりも、よっぽど簡単なことだと思うんですけどねえ。

 そして我らがスーパーアグリですが、今回は何とスタート直後のビルヌーヴ・シケインで井出有治とミッドランドのクリスチャン・アルバースが接触。アルバースのマシンは大破してセーフティカーが導入されます。井出も接触のあと左フロントのサスペンションがダメージを受け、その後リアサスペンションにも問題が発生してリタイアに終わりました。
 井出は「シケインの立ち上がりでアルバースがレーシングラインにいて、彼のクルマを避けることができなかった」と接触時の状況を語っていましたが、追突されたアルバースは井出に対して怒りを露わにしていました。
 今回の井出くんは、ちょっと強引すぎましたねえ。スタートで前に出たかったのはわかりますが、あの状況でアルバースのインに入ろうとするのは無謀です。上空からの映像を見ても、明らかに前にいるアルバースのインには入り込む余地はありませんでしたからね。井出くんはアルバースを避けてアウト側に進路を取るか、減速して追突を避けるべきでしたね。いずれにしても今回の一件で、井出くんのチーム内での評価はさらに下がってしまうこととなってしまいました。

 一方の佐藤琢磨は最後尾ながら順調に周回を重ねていたのですが、レース終盤、中継カメラがシューマッハとアロンソの熾烈なトップ争いを追っている間に、いつの間にかスピンアウトを喫して人知れずリタイヤしていたようです。これでスーパーアグリはデビュー4戦目にして初めての2台リタイヤとなってしまいました。速さはないにしても、エンジンやマシンの信頼性は問題なかったようなので、琢磨も井出くんも不用意な接触やスピンによって完走を逃してしまったのが悔やまれますね。厳しい状況は今後もまだまだ続きそうです。



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