Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 仮説・スーパーアグリは1年前倒し参戦?
2006年02月15日(水)

【2006 Voice Rally Result】(Update:February17)
 Mako Hakkinenn(M-NEST.net/JPN)…… -2day


 昨日イギリス・グロスター州のケンブル飛行場で待望の初シェイクダウンを果たしたスーパーアグリ・フォーミュラ1ですが、その後ようやく正式にドライバーラインナップを発表しました。
 今シーズン、スーパーアグリ・フォーミュラ1の初代レギュラードライバーとなったのは、これまでの噂通り佐藤琢磨と、昨年フォーミュラニッポンでランキング2位だった井出有治の2人。これにより、ドライバーについても純日本チームという路線が打ち立てられたことになります。
 チーム代表の鈴木亜久里氏は「初めてのF1挑戦なので、今年はたいへんなことがたくさんあるだろうが、そのためにもこうした経験豊富なドライバーを迎え入れることができ、とても喜んでいる」 と語りました。

 さて、紆余曲折はあったものの、現実的に振り返ってみれば、昨年11月1日に突然新規参入を発表してF1ファンの度肝を抜いてから、あっという間に新チームを立ち上げてしまったスーパーアグリですが、僕が思うに、というか多くの者が思っているように、“佐藤琢磨のために立ち上げた”チームであるという印象が非常に強く、急速な新チーム誕生の背景には、佐藤琢磨がBAR(現ホンダ)から離脱したことが大きく影響しているのではないかと思います。

 実際は昨年のかなり早い段階から準備は進めていたようなので、佐藤琢磨のBAR離脱が鈴木亜久里氏による新F1チーム誕生そのものの直接的なきっかけにはなっていないにしろ、どうも今回の参戦発表からエントリー決定までの2ヶ月半を見ると、本来なら来シーズン(2007年)からの参戦を目指していたものを、急遽1年前倒しして強引に今シーズンからの参戦にこぎ着けたのではないかと思ってしまうからです。

 スーパーアグリとしては、本来ならばちゃんとオリジナルマシンの開発にめどがついてから、そしてF1エントリーに必要な多額の委託金の準備ができてから、時間にたっぷり余裕を持ってエントリーの手続きを進め、スポンサー探しにも時間をかけ、「これならとりあえずまともに戦える」という万全の体制を整えてから参戦を果たしたかったに違いありません。
 それが、昨年11月1日の突然の参戦発表から、同月のエントリー締切日までに委託金を準備できずにエントリー漏れ。そのため他の10チームからの承諾が必要となり、余計な苦労をする羽目になってしまったわけです。さらにシーズン序盤を戦うマシンは4年落ちとなる旧アロウズの改良型、そして主だったスポンサーに関しては未だに不明のまま……。どう見ても来年のために準備していたものを、急遽前倒しして何とか今シーズンに間に合わせようとしてドタバタしてしまったようにしか思えないんですよね。

 では、僕の考えが正しいと仮定して、なぜ前倒ししたのか。それが先程述べた“佐藤琢磨のために立ち上げた”チームだからというわけです。

 もしスーパーアグリが今シーズンから新規参入しなかったとしたら、BAR・ホンダから放出された佐藤琢磨は、今シーズンを棒に振っていた可能性は非常に高かったと言えます。昨年9月21日に佐藤のBAR放出が決まってから、ジョーダンを買収したミッドランドが佐藤獲得に名乗りを挙げましたが、もし佐藤がこのオファーを受け入れたとしたら、トヨタエンジンを搭載するとは言え、ミッドランドではトロロッソ(旧ミナルディ)との最下位争いが関の山でしょう。

 無論、スーパーアグリも新規参入チームであり、しかもシーズン序盤は4年落ちのマシンでの戦いを余儀なくされるわけですから、ミッドランドやトロロッソと同様最下位争いを演じる可能性も大いに考えられます。しかし長い目で見れば、どうせ同じ最下位争いならば、付き合いの長いホンダ陣営に留まって、しかも佐藤としては絶対的有利な純日本チームに行った方がメリットが大きいのは言うまでもありません。

 だからこそ、スーパーアグリは佐藤がBARからの離脱が決まったのを受け、急遽その受け入れ先として、新規参入を1年前倒ししたのではないかと考えるわけです。

 つまりスーパーアグリは、もっと時間的余裕を持ってチーム体制確立の準備を進め、スポンサーも早い段階に獲得し、エントリー手続きもわざわざ他の10チームの承認など必要としない効率的な手続きを完了し、マシン開発にもたっぷり時間をかけ、旧型の流用などではなく、十分テストを重ねて信頼性がある程度確立されているオリジナルマシンで開幕戦に臨む……という理想的なチームデビューを犠牲にしても、佐藤琢磨を受け入れる環境作りを優先したのではないか、ということです。

 この仮説、馬鹿げていると思いますか?

 なぜ佐藤琢磨のためにそこまでするのかと思いますか?

 この話の続きは、また明日。



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