Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1、フィンランド・フィーバーの予感
2005年11月14日(月)

 これからのF1は、フィンランド人旋風が吹き荒れそうな予感です。

 歴代F1ドライバーの中で、フィンランド人ドライバーは7人。1974年にフィンランド人初のF1ドライバーとして登場したレオ・キヌーネンは、プライベート・サーティースで出走しますが、1回の完走と5回の予選落ちに終わります。彼はF1において、オープンフェイスのヘルメットを最後に着用してレースに臨んだドライバーとして知られています。
 続いて3年後の1977年に登場したミッコ・コザロウィツキーもRAM・フォードでデビューを果たしますが、スウェーデングランプリとイギリスグランプリに参戦するも予選落ちに終わります。

 そして翌年の1978年にデビューしたのが、フィンランド人として3人目のF1ドライバー、ケケ・ロズベルグです。彼はデビューから数年はなかなか芽が出ず、中堅チームを渡り歩き、4年で通算8ポイントしか獲得することが出来ませんでした。
 しかし82年、アラン・ジョーンズの引退を受けて招かれたテストでウイリアムズのシートを手にし、初優勝からワールドチャンピオンまで一気に駆け上がります。この年のタイトル争いは熾烈を極め、ロズベルグはわずか1回の優勝でチャンピオンとなったことはよく知られていますね。その後のチームの不調期にも耐え、85年には最後までタイトル争いに加わった後マクラーレンに移籍。この年を最後にF1を引退します。F1における元祖「フライング・フィン」として有名です。

 その後1988年にJJ・レート、91年にミカ・ハッキネン、94年にミカ・サロがデビューし、一時期F1には3人のフィンランド人が顔を揃えていましたが、その中でケケ・ロズベルグがマネージャーを務めていたミカ・ハッキネンが、マクラーレン・メルセデスで98、99年と2年連続でタイトルを獲得し、2代目「フライング・フィン」としてミハエル・シューマッハとともに一時代を築きます。
 そのハッキネンが2001年シーズンを最後に事実上の引退を表明し、その年にザウバーからデビューしたキミ・ライコネンを彼の後任としてマクラーレンに呼び寄せます。ライコネンはデビュー3年目、マクラーレンでは2年目の03年マレーシアグランプリで念願の初優勝を果たし、その後04年、05年と最後までタイトル争いを演じてきました。しかも04年、05年ともにマシンに信頼性があれば、ライコネンがタイトルを獲得していた可能性も十分あり、近い将来チャンピオンになることは間違いないでしょう。

 フィンランド人ドライバーは、98年にハッキネンが初めてタイトルを獲得した年から現在まで、理想的な連続性を持っていると言えます。ハッキネンは98,99年と2年連続でタイトルを獲得した後、2000年もミハエル・シューマッハと最後までタイトル争いを繰り広げました。翌2001年はマシンの戦闘力と信頼性が劣り平凡な結果に終わりましたが、翌年から若いライコネンがマクラーレンのポジションをスムーズに継承し、ライコネンも安定した速さを見せており、これまでのところ順調にフィンランド人の活躍が続いています。

 これにより、F1市場では今、フィンランド人ドライバーに対する評価が、非常に高まってきていると言えます。ルノーの秘蔵っ子であるヘイキ・コヴァライネンが来シーズンにザウバーを買収したBMWに移籍すると言われていて、かのケケ・ロズベルグの息子であるニコ・ロズベルグはウィリアムズからのF1デビューが秒読み段階となっています。
 ヘイキ・コヴァライネンとニコ・ロズベルグがF1にデビューすれば、再びF1にはライコネンを含めた3人のフィンランド人が顔を揃えることとなり、ライコネンを筆頭に若いフィンランド人がF1を牽引していくことは間違いないでしょう。
 ライコネンのいるマクラーレンはすでにトップチーム、ニコ・ロズベルグが行くウィリアムズはここ数年低迷していますが、近い将来必ず復活するでしょう。そしてコヴァライネンが行くBMWも、ワークスチームとして生まれ変わることで飛躍的に進化する可能性を十分秘めています。

 では、なぜフィンランド人は評価が高いのでしょうか。もちろんハッキネンからライコネンへの活躍の流れもありますが、フィンランド人ドライバーはF1以外のモータースポーツでも、非常に活躍しているからです。その中ではWRC(世界ラリー選手権)で1995年から4年連続でチャンピオンとなったトミ・マキネンがもっとも有名ですが、同じWRCに86、87、91、93年にタイトルを獲得したユハ・カンクネンもいます。他にも、前述のJJ・レートは88年イギリスF3チャンピオンで、95年と今年のル・マン24時間耐久レースで優勝、ヘイキ・コヴァライネンはトップ・フォーミュラレースであるワールドシリーズ・バイ・ニッサン(現ワールドシリーズ・バイ・ルノー)の2004年チャンピオン、そしてニコ・ロズベルグは昨年までの国際F3000選手権が発展したGP2シリーズでタイトルを獲得しました。

 ミカ・サロはF1での優勝経験はありませんでしたが、イギリスF3時代にはミカ・ハッキネンと熾烈な争いを演じ、F1ではチームに恵まれなかったものの、99年にはイギリスグランプリでミハエル・シューマッハが負傷し、代役としてフェラーリのシートを得た後、ドイツグランプリではレース中盤にキャリア初の首位走行を果たし、チャンピオン争い中のアーバインにチームオーダーでその座を譲ったために初優勝の夢は消えてしまいますが、自己最高位の2位を得ます。その後、イタリアグランプリでも3位で表彰台を獲得し、その実力を発揮しました。また、満を持してトヨタがF1デビューを果たした2002年は、開幕戦のオーストラリアグランプリでいきなり6位入賞し、デビュー戦でトヨタに初ポイントをもたらす活躍を見せました。
 
 F1キャリアにおいて適切なタイミングで適切なシートを得ることがいかに重要かということは言うまでもありませんが、少なくとも、フィンランド人ドライバーの多くがトップドライバーとしての資質を備えていると言うことは間違いないでしょう。果たして次のフィンランド人チャンピオンの栄光は、誰に輝くのでしょうか。未来のF1も楽しみがいっぱいです。



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