Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 「宇宙戦争」を観る
2005年08月11日(木)

 今日の話ではないですが、先日スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の映画「宇宙戦争」を観てきました。

 スピルバーグとトム・クルーズが「マイノリティ・リポート」に続いてコンビを組み、有名なH・G・ウェルズの同名原作を53年に続き再映画化したSFスペクタクル超大作。異星人による地球への侵略と壮絶な破壊、さらには思いもよらぬ事態に混乱しながらも家族の愛と絆を確かにしていく主人公の姿を壮大なスケールで描きます。共演は「ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ」のダコタ・ファニング。
 アメリカ東部のニュージャージーに暮らすレイは労働者階級のごく平凡な男。別れた妻との間には息子のロビーと娘レイチェルがいた。そして子どもたちとの面会の日、その異変は何の前触れもなく唐突に訪れた。晴天だった空が突如不気味な黒い雲に覆われると、吹き荒れる強風の中、激しい稲光が地上に達し、地面に巨大な穴を空ける。すると大地が震え、地中で何者かが激しくうごめき始めたのだった。その光景を呆然と見つめていたレイ。町が次々と破壊され、人々がパニックに陥る中、レイは子どもたちのもとへ駆けつけ、彼らを守るため懸命に奔走するのだった……というお話。

 この映画は、これまで何度か宇宙人を題材にした作品を作ってきたスピルバーグとしては初の“侵略型”宇宙人をテーマにした作品ですが、ストーリー自体は宇宙人が地球を破壊しまくるという至って単純なお話です。しかし、他の宇宙人侵略モノの映画と違うところは、スピルバーグ独特の“恐怖感”の演出でしょう。彼のモンスターパニック映画の代表作である「ジョーズ」もそうでしたが、とにかくその恐怖の対象物を非常に象徴的に表現しているので、その圧倒されるような出現シーン、そしてその襲撃から人々が逃げる様は、まさに夢に出てきそうな悪夢、日本的な表現をするならば、地獄絵巻図のような光景です。
 しかも、今回も音楽は巨匠ジョン・ウィリアムズが担当しているのですが、彼の真骨頂である「スターウォーズ」「スーパーマン」「E.T.」「インディ・ジョーンズ」などのメロディが印象的なスタイルを一切封印し、ただただ恐怖感をあおる重厚なポストモダンに徹しているため、映画館全体が恐怖のどん底に突き落とされたような雰囲気に包まれます。

 他にスピルバーグらしいところというと、細かいメカニックのディテールが「A.I.」や「マイノリティ・リポート」に通じるものがあり、スピルバーグファンの僕としては思わず「スピルバーグやなぁ〜」と思わずにはいられませんでした。
 それから、すでに様々な宇宙人の映画が世に氾濫している今、スピルバーグがどのような宇宙人を描いてくるのか非常に興味深かったのですが、さすがはスピルバーグ!あえてH・G・ウェルズの原作小説の表紙イラストに描かれているような、古典的な宇宙人(というかメカ)を出してきました!巨大な鉄のロボットが地上に向けて無数のレーザー光線を発している、あの印象的なイラストそのまんまでした。原作のブキミさをほぼ完璧にトレースしていると言っていいと思います。圧倒的な力に呆然としながら、逃げ惑うしかない人々、ひたすら撃つしかない軍隊。このあたりの見せ方は、スピルバーグの職人芸的演出だと思います。幼い頃に読んだ「宇宙戦争」の世界そのものです。ウェルズが観たら、間違いなく大喜びでしょう。

 いや〜、この映画は絶対劇場で観るべきですね!タモリさんちみたいに、自宅に大きなテレビや5.1chのサラウンドシステムなどを完備しているなら別ですが、DVDを借りてきて普通のテレビでステレオで観てしまったら、この迫力は半分も伝わらないでしょう。



↑エンピツ投票ボタン
My追加


≪過去 未来≫ 初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加