Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 スペースシャトル・ディスカバリー帰還
2005年08月09日(火)

 野口聡一さん搭乗のスペースシャトル「ディスカバリー」が今日午前5時11分(日本時間午後9時11分)、米カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に着陸しました。ディスカバリーは約1時間前にエンジンを噴射して軌道を離脱し、高度約120キロで大気圏に突入。2003年に大気圏で空中分解したコロンビアが通信を絶った約60キロの高度も無事通過して、夜明け前の滑走路に着陸し、帰還が完了しました。

 2003年2月1日、着陸16分前に空中分解したコロンビアの事故はまだ皆さんの記憶にも新しいと思いますが、その事故原因は、打ち上げ時に外部燃料タンクから落下した断熱材が翼に穴を開けたことでした。そして今回のディスカバリーも、度重なった打ち上げの延期、再び起きたタンクからの断熱材落下、さらに大気圏再突入も天候不順で遅れるなどのトラブルが相次ぎ、無事帰還できるかどうか心配されていました。

 当初米航空宇宙局(NASA)は、米東部時間8日未明(日本時間8日夕方)に予定していたディスカバリーの帰還を9日に延期しました。着陸するケネディ宇宙センター周辺の悪天候が原因で、NASAは、8日午前4時46分(同午後5時46分)と、シャトルが地球を1周した約90分後の2度の着陸機会を見送りました。センター付近は雲が低くたれ込め、滑走路の視界が相当悪かったそうです。高度2400メートル以下で空の半分以上が雲に覆われず、視界が8キロ・メートル以上確保されていることが着陸に必要な条件だそうですが、気象状況が安定せず、この日の帰還を断念せざるを得ませんでした。

 しかし、宇宙滞在の期限は燃料電池の寿命などから10日までとされ、9日はケネディ宇宙センターのほかカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地、ニューメキシコ州のホワイトサンズ宇宙基地を代替着陸地とし、計6回の着陸機会を設定して帰還に万全を期しました。この日、ディスカバリー船内で目覚まし用に流れた音楽はビートルズの「グッド・デイ・サンシャイン」だったそうです。搭乗員たちはビートルズに好天と安全な着陸への願いを託したんですね。

 ところが、9日午前5時7分(日本時間9日午後6時7分)に予定された帰還は、ケネディ宇宙センター付近の上空に雨を伴う雷雲が発達していたため、再び延期されてしまいました。その後、付近の上空に雷雲が一向に晴れず、専用滑走路への着陸に適さないと判断され、ついにケネディ宇宙センターへの着陸を断念することとなりました。代わりにカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地への着陸を試み、日本時間9日午後9時12分、ディスカバリーはようやく空軍基地に滑走路に無事着陸することができました。実に燃料電池が切れる1日前、ヒヤヒヤものです。

 コロンビア空中分解事故以来2年半ぶりの再開飛行はひとまず成功しました。しかし、1986年の「チャレンジャー」、そして2003年の「コロンビア」、もう2度とあのような事故は起こって欲しくありません。今回ディスカバリーが無事に帰還できたことはとても嬉しいですが、反面、まだまだ安全面に関する課題は山積みであると言っていいでしょう。今後の宇宙開発に期待したいですね。

 そして願わくば、日本の宇宙開発も、もっと飛躍して欲しいですな。



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