Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1ヨーロッパGP決勝
2004年05月30日(日)

 F1第7戦ヨーロッパグランプリ決勝、日本人初のフロントローからスタートした佐藤琢磨(BAR・ホンダ)は、スタートで出遅れて後方のヤルノ・トゥルーリ(ルノー)、キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)の先行を許してしまいますが、1コーナーのブレーキングでぎりぎりまでブレーキを我慢し、ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)の後ろ、2番手で1コーナーをクリアしました。その後4コーナーで佐藤とトゥルーリが激しいバトルの末に接触。この間にライコネンが2番手に浮上し、フェルナンド・アロンソ(ルノー)が3番手、佐藤は4番手、トゥルーリは7番手でオープニングラップを終えます。その後数周に渡ってペースの上がらない2位ライコネンに後方が抑え込まれ、その間にシューマッハが後続を突き放す典型的なフェラーリパターンとなり、佐藤もペースダウンを余儀なくされました。

 レースはシューマッハが8周目に早めのピットイン、以下トゥルーリ、ライコネンがピットインしたことで前が開いた佐藤がペースを上げ、15周目まで1回目のピットインを引っ張ったルーベンス・バリチェッロ(フェラーリ)がピットインしたことで2位に返り咲きます。しかしレース終盤の38周目にバリチェロが2回目のピットイン、その後44周目に琢磨が3回目のピットインを終えた時点で、バリチェロが佐藤の前に出て佐藤は3位に後退。

 このままでも佐藤の3位表彰台は確実だと思われましたが、ペースはバリチェロよりも佐藤の方が断然速く、チェッカーまで15周を残した時点でホームストレートを走るバリチェッロの背後に佐藤がピタリとつけ、1コーナーの進入で佐藤はバリチェロのインに飛び込みます。しかし、アウト側のバリチェロもインを閉め、佐藤の左フロントウィングとバリチェロの右フロントタイヤが接触。佐藤はフロントウィングを失い、マシン修復の為にピットへ。5番手でコースに復帰した佐藤は追い上げを図りますが、ここで無情にもマシン後部からは激しく白煙。佐藤ホームストレート上のピットウォール側にマシンを止めてしまいました。

 どのみち佐藤はエンジンブローでリタイヤする運命でしたが、バリチェロをオーバーテイクしたシーンはとてもアグレッシブでセンセーショナルでした。バリチェロはレース終了後に「佐藤はアマチュアだ」と語っていましたが、あの接触の否は、バリチェロにあると断言します。バリチェロはバックミラーをまったく見ていなかったために佐藤の存在に気付かず、佐藤にインを取られたことにも気付かずにドアを閉めてしまったのです。バリチェロは佐藤のために1台分のスペースを開けるべきでした。アマチュアなのはバリチェロの方ですね。

 佐藤はまたしても不運に見舞われて表彰台のチャンスを逸してしまいましたが、今回のレースでは誰よりも素晴らしいレースをしたと思います。そして「F1では結果が全て」と言われますが、今回の場合、琢磨はあそこで仕掛けるべきでした。悪いのはバリチェロです。佐藤は行くべきところで行ったのです。あのオーバーテイクを見て「佐藤は危険なドライバー」などと批判する人は、F1のことをまったくわかっていませんね。今回の佐藤のレースを批判する人は、いったいF1の何を見ているというのでしょうか。佐藤琢磨、彼は近いうちに必ず表彰台の中央に立つでしょう。


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