Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 ローマ散策展
2004年01月25日(日)

●「それゆけ!マコ・ハッキネン」第6集アップ!

 今日は昨日お伝えしたとおり、静岡県立美術館で開催中の「ローマ散策展パート2〜ピラネージの見た夢〜」を観に行ってきました。静岡県立美術館は静岡市の小高い丘の上にあり、広大な緑に囲まれた美しい敷地を有し、ただ園内を歩くだけでも大変気持ちのいい場所です。春は道沿いに植えられた並木に満開の櫻が咲き、夏は鮮やかで涼しげな緑が出迎えてくれます。3年前に「ローマ散策展パート1」を観に行ったときには、櫻の花びらのシャワーが降り注いでいました。

 ローマ、「世界の都」とも称えられるこの地は、何と多くの人々の心を惹き付けてきたことでしょうか。一度ローマの街角に立てば、そこには数世紀を経た建築があり、幾多の人馬に踏みならされた石畳、そして青く澄み渡った空の下、積み重なる歴史の厚みを豊かに感じ取ることができます。

 18世紀イタリアの版画家、ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(1720ー1778)もまた、この都市に魅せられた芸術家の一人です。ヴェネツィアに生まれながら、20歳頃にローマに初めて滞在してからは、生涯のほとんどをローマで過ごし、様々な景観を迫力ある版画(エッヂング)で描き続けました。しかしピラネージにとって、ローマは単に描かれるべき風景ではありませんでした。考古学者・建築家としての顔を持つ彼は、自ら発掘に携わり、測量を繰り返すことで、かつて存在したであろう壮麗な建築の姿を、そしてかくあるべき理想の都市の姿を、そこから見出していったのです。その強烈なイメージはヨーロッパ中で人気を博し、この街への渇望を一層掻き立てていくのでした。

 今回の「ローマ散策展パート2〜ピラネージの見た夢〜」では、『ローマの古代遺跡』『古代の壷、燭台、石碑…』など、古代ローマに寄せる彼の深い興味を示す作品や、同時代の様々な都市風景を描いた『ローマの景観』、幻想的な『牢獄』等の連作を一堂に展示しています。さらに彼の劇的な表現の源泉の一つであったと考えられる劇場デザインの世界を、ビビエーナ一族やピエトロ・リギーニの作品で紹介されています。会場には現代のローマの姿の一部を写真で例示されていました。ピラネージの見た「ローマ」という夢の世界を、約120点の作品で楽しむことができました。

 ピラネージ作品の魅力は、その精密に描かれたエッヂングのモノクロームの世界に、確かに当時の人々が息づき、小さな世界が存在していることです。古代ローマ遺跡に佇む人々、羊飼いや測量士、建築家や見物人、ピラネージは作品の中に人間の生活を見事に表現していました。当時は今のように街の地面の多くは舗装されておらず、現在も現存する建築物の周りは土だらけの地面、しかも洪水が多くあの有名な凱旋門が半分近くまで地中に埋まっている風景もあり、当時の街の様子が写真以上の説得力を持って僕たちに伝わってきます。彼のエッヂングの世界は、思わず絵の中に吸い込まれそうな魅力と圧倒的な存在感があります。

 幸いなことに、僕の普段の生活はそれなりに優雅で、欲しいものはだいたい揃っているので今のところ不自由することはありませんが、そういった物欲だけでなく、芸術作品に触れて感受性と想像力を養い、その世界に浸ることで日常生活からトリップし、精神的にも優雅な感覚に満たされることって、大事ですよね。事実、絵を鑑賞しながら古代ローマの世界を楽しみ、同時にその作品を観察することで自分自身の創作意欲もかき立てられています。間もなくうちでオープンする「グランプリの肖像」の参考になる部分も非常に多かったと思います。



作品1



作品2


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