アイゾウ

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2020年10月15日(木)
はしご。3



思い出せない会話をし続け
食事が終わりかけたころ、
勇気を出してサラくんへ言う。


腕を、つねって欲しいです。


そう、この席は他の席よりも
死角が多かった。少し辺りを
うかがってから、
利き手でつねってもらうべく
正面に座る彼へ左腕を差し出し
私は待った。


袖口から彼の手が入ってきて
二の腕の柔らかいところで
止まる。
痛みに慣れていない肉が挟まれ
意識がそこに集中する。
痛くて痛くてたまらない。
叫ぶこともできない今はとても
辛いけれども、私はこうして
欲しかった。
自分だけでは完成しない行為は
数日間は残るアザと痛みと
こういうことをしている事実を
私にくれる。私は
普通じゃない、でも飛び抜けて
アブノーマルでもない、少し
だけおかしな体験がしたかった。


数分間の体験だけで、私は
ぼんやりしてしまい、まるで
アルコールで酔ったかのような
気分になれた。


冷えてるよ


終わったあと、サラくんは私の
腕を撫でながらそう言った。
冷えているのは無傷な部分。
肝心な部分は発熱しだしていた。



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