| 2006年09月12日(火) |
『PARADE』 スガシカオ 2006.9.6 |
このCDは悩みに悩んだ末、買ってしまった。 「午後のパレード」があまりに良くって、よくも夏の終わりにあんな爽やかでポップな歌を出したなあと感心した。 万年夏でもかまわない私としては秋の気配ただよう時期になって、夏のパレードを見ているかのような歌を出してくれたスガシカオには拍手していた。 この歌はハワイのパレードを見ていて作った歌らしい。 本当にからっとして夏を終わらせない感じが出ていて、いかにも私の好みの音だ。 「斜陽」もいい。いかにも斜に構えた視線で描く独特の詩はスガシカオの詩そのものだ。 私にはこういう正直な詩がとても心に響いてくる。 希望としてはこうだけど、でも全部できない。ここまでしかできないと正直に書くスガシカオの詩には降参してしまう。 そしてなにより「夏陰〜なつかげ〜」が素晴らしい。 この1曲でこのアルバム買ってよかった!と思った。 これはあの「夜空ノムコウ」の続きのような歌だと思う。 「夜空ノムコウ」は私にとってはとても大切な大切な歌だけど、その歌が少し大人になって作られた歌のような気がして、この歌も宝物になりそうだ。 「タイムマシーン」はこれも面白い。これは意見している歌だ。 「タイムマシーンみたいなユメの装置を開発するのはやめるべきだ」と歌われている。 意見を述べる歌。面白い。文章みたいだ。 「Rush」も正直でいいけど、「Hop Step Dive」はアーティストとしてのスガシカオの気持ちが書かれていて、これもいい。ファンに向かって歌っているようだ。 今までこういう歌はあまり聞いたことがないような気がするが、曲もとても模範的にポップで、曲作りのお手本のような曲だ。 ラストの「Prigress」もスガシカオワールドそのものだ。 理想の自分にはなれないけれど、あと一歩だけ前に進もうとスガシカオの独特の挫折と希望がダイヤモンドの原石のように光っている。 スガシカオの書く詩は1等星じゃなく、一番星でもなく、鈍く光って目をこらしたらやっと見えるような輝きを私の胸にもたらせてくれる。
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