私の音楽日記

2006年05月03日(水) 『a piece of cake』  小松未歩   2006.4.26

この人はこんなにもか細い声で、なんでこんなにも心をえぐるような歌を歌うんだろうといつも思う。
春が似合うような明るい歌もたくさんあって大好きだけど、心の底からの悲しみの歌もすごいと思う。
私にとっては中島みゆきさんの書く詩よりも、小松さんの詩の方がリアルに胸につきささる。

  いつか 笑って話せる日が
  二人に訪れるとしたら
  きっと私 おばあちゃんになってる
  この空の下で どれだけの人が
  最愛の人と結ばれるの
  幸せだった思い出が鮮やかすぎて
  ここからまだ動き出せない
     
        「deeo grief」 作詞 小松未歩

小松さんの失恋の歌は決して相手をうらまない。
全部、一つの出来事として受け止めて思い切り悲しむようだ。
相手のせいにしない。
どこまでも悲しんで立ち直るところまでは書かない。
次の明るい光を求めたりしない。
アルバムの中に1曲か2曲くらいそういう曲が入っていて、いつも胸につきささってくる。
 grief=悲観。悲しみの重さを感じる。

これを聴いていると、本当にどれだけの人が最愛の人と結ばれるのかなあと思う。
最愛の人っていうのは誰にもわからないし、思い込めば最愛の人となるし、
本当にわからない。
最愛ってどんなものだろうか。人と人を超えているのかもしれない。

「はるのきおく」は昔を懐かしんでいるいかにも春らしい曲。
ひらがなのタイトルもあたたかい感じ。

「神様はジッと見ている」も良い。
自分の心に嘘をついても神様はジッと見ていて、時折その事実を突き詰めてくる。
だから素直に生きようという歌。

「向日葵の小径」はこれから夏へ向っていく時期に情景が浮かぶような歌だ。
  
   向日葵の小径を
   二人 歩いた
   あの頃は もう戻らない
   分かっているけど
   この場所を動けない

      「向日葵の小径」 作詞 小松未歩

向日葵はわたしにとっても、
きれいで大きくて太陽に向う明るい花でありながら、悲しい花でもある。
向日葵が並ぶ道を歩いていると、明るい黄色が短い夏を悲しむかのように見えてくる。

「あなた色」や「my darling」はいかにも小松さんらしい自由に心を綴った歌だと思う。

素晴らしい考え方の人だと思う。
悲しい心はそのままに無理に明るい方向へ行こうとしない。
悲しいときはずっと悲しんでいる。辛い気持ちをかみ締める。
そして楽しい時は心のままに楽しく歌う。

私は小松さんの歌で励まされる事はあまりないけど、こういう素直な気持ちも大事な事だなあと思う。

 


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