| 2006年04月29日(土) |
サウンド・コミック・シリーズ『はみだしっ子』 原作 三原順 音楽プロデュース 谷山浩子 |
私は『はみだしっ子』というアニメを知らなかった。 ちょっとしたことから谷山浩子さんが昔、アニメの音楽を作った事を知り、 聴いてみたくなってLPを買った。 LPのジャケットは、にぎやかなパーティを楽しんでいるようなカラフルな絵。 中に入っている絵もとても明るい子供たちと犬たちの絵。 どの絵もとても表情豊かだ。 1983年2月に発売されたものなので、80年代の明るいアニメなのだろうと思って聞きはじめた。 歌詞カードはなくて、アニメのあらすじが書いてあった。 私はものすごく衝撃を受けてしまった。 私は『はみだしっ子』の意味を完全に勘違いしていた。 ちょっとしたアウトロー的な子供たちのお話だと想像していたのだ。
そしたら全然違った。 ここでの主人公のはみだしっ子たちは、全員親が嫌いで家を出てきた子達ばかりなのだ。 親が嫌いで集って暮らしている。 しかし心無い大人たちは親のところへ連れ戻そうとする。 それは絶対に嫌だ。帰らない。 新しい出発がしたい。たとえ行き着くところが死であっても…。 ここに出てくる子供たちはみんな親に虐待されたり、邪魔者扱いされたり、 捨てられたりした子達なのだ。 そんなアニメが、そして音楽が1983年に作られていた。 曲はすべて谷山浩子作品で、歌っておられるのはおそらく声優さんだと思われる。 私はアニメは詳しくないので、ちょっとわからないが、 暗く悲しい内容がマイナーで明るい曲調によって救いのある歌にしてある。 この当時、谷山浩子さん自身もご自身のアルバムでよく心の闇を歌っていた。 『水の中のライオン』の1曲目の「人形の家」などは恐ろしかった。 私は1曲目から恐ろしい気持ちになって、緊張しながらアルバムを聴いていた。
このアルバムも恐ろしいけれど、でも目をそむけてはいけないと思った。 親が子への愛を失うということは私には全くわからないことだけど、 そういうこともこの世の中には存在していて、それは一体どうしたらいいのだろうかと自問自答しても私にはわからない。
親になっている今、このアルバムを聴く機会にめぐり会えてよかった。 すごく感謝している。
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