HARUKI’s angry diary
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2005年01月19日(水) クマとの馴れ初め その2

昨夜の日記を書いたあとクマに聞いてみた。
「なんで4年のとき、私の前にずぅえったい顔出さなかったの?」
クマは一瞬考えたようだったが、一言小さな声で言った。

「すごく好きだったからだよ」

えぇぇぇぇぇぇ、そぉなのぉぉぉぉ?←情緒のかけらもないヤツ
っていうか、二股かけてたHARUKIもそりゃ悪いけど、プロポーズを断ったことに傷ついてたってこと?
まだ若かったんだから、結婚だけが人生じゃないと思うんだけど。←いくつになっても所詮変わらんヤツ

クマはさらに言った。
「ひとつだけAじゃなかった科目は、教授とケンカして単位もらえなくて、他の教授で取り直したからだからなんだよ〜」
はい、はい、はい、わかってます!キミはHARUKIと違って優秀だったもんね。プンプン。←ひがんでいるらしい

さて、美術関係とは程遠い職種に就職したHARUKI。←いきなり本題
一方クマは、取った資格を生かし中学校の美術の教員になった。

社会人になってからは、かつての同級生から個展やグループ展の案内状が届くようになった。
もしかしたらクマともう一度会えるのでは?と思うHARUKIは、こまめに顔を出すことに。
だが、そこで顔を合わせる同級生たちは「研修会でクマに会った」とか「学校が荒れてて大変らしいよ」など情報は流してくれるのだが、それ以上のことはまったく教えてくれない。

やっぱりクマには嫌われたんだよなぁぁ、とHARUKIは確信し、いつしか仕事の忙しさにかまけて、クマのことはあまり考えなくなっていた。

学生時代に付き合っていた司法試験浪人のヤツは、HARUKIの就職とともに司法試験をあきらめ、公務員試験を受けて裁判所の書記官に。
彼はHARUKIとの結婚を考えていたようだが、仕事が面白くなり始めたHARUKIは、日本中を転勤で点々とするヤツについていく気など毛頭なかったので、あっさり別れた。←おいおい

そして、23歳のとき、HARUKIは仕事で知り合った5つ年上の男と結婚した。
結婚式当日。披露宴のあとのいわゆるお見送りのときに、式に参加してくれていた同級生の一人(♂)がHARUKIにこっそり言った。
「クマさんはね○月○日結納で、○月○日に結婚式だって」
へ?そーなの?
なんで、今、そーいうこと言うわけ?

まぁ、私も結婚するし、クマも無事結婚するなら、それはそれでメデタシ、メデタシだよね。

とHARUKIはそのとき思ったのだった。


HARUKIが傷つけた男とはいえ、クマのことは嫌いで別れたわけではない。機会があればあやまりたいと思っていた。←かなり傲慢
そこでもともとわりとマメなHARUKIは、みなさんに出していた季節の挨拶状を必ずクマにも出すようになった。
もちろん返事など期待していなかった。でも、なぜかクマからは必ず返事が返ってくる。
それを14年間繰り返していたのだ。

14年の間に、HARUKIはめちゃめちゃ過酷で特殊な仕事(笑)に転職をしたり、最初の亭主と離婚したり、かなりいろいろな出来事があった。時候の挨拶の中に出来事を書く習慣のあるHARUKIだったから、クマはそれを逐一把握していたことになる。そしてHARUKIも、クマがマスオさん(笑)になったことや子供が生まれたことを知っていた。

クマと再会してから聞いたのだが、HARUKIが最初の離婚をした29歳のときに、どうも手紙をくれていたらしい。
実はHARUKIはその手紙は見ていない。存在すら知らなかった。結婚して住んでいたマンションを最後に片付けたのは、当時の亭主なのでおそらく彼が抹殺したのだろう。
今となっては後の祭りではあるが、もし、その手紙を見ていればHARUKIとクマの人生は変わっていたかもしれない。

さらに、再会する1年前までクマが4年間勤めていた学校は、HARUKIの勤める会社のすぐ近く。利用する駅も改札口も同じだった。
でもただの一度として、会うことはなかったのだ。
普通だったら、縁があれば偶然会えそうな気もするのだが。

HARUKIは思う。
もし神様がいるとしたら、HARUKIとクマは、神様に「まだ再会してはいけない」と決められていたのではないかと。

そして、HARUKI34歳、クマ35歳のとき、時が満ちた。

HARUKIは仕事は順調だったが、私生活的には、二度目の結婚をした後でかなり不本意な日々を過ごしていた。

そんなある日、大学時代の同級生が、ベーチェット病という難病にかかり入院した。この病気は、かかった人にもよるが、最終的には失明するかもしれないという芸術を生業としている人間(もちろんどんな人にでもだが)には、とくに厳しいもの。

あまり連絡を取り合うこともなくなっていたクラスメート達は「彼のために何か出来ることがあれば」と急にどよめきたった。

HARUKIは、おそるおそるクマに事情を書いた手紙を出した。するとクマからすぐさま返事が。

そして運命の再会の日が来た。
場所は銀座。たまたま銀座の画廊で同級生の個展をやっていたので、それを機会に会おうということになったのだ。

最初は、友人達を交えての会談だったので1対1での話は出来なかったのだが、クマのHARUKIに対する態度は、HARUKIの前から姿を消した当時とは打って変わって、すごく友好的。
あれ?なんでだろう?
あのときのことは怒ってないの?

HARUKIは拍子抜けしたような、安心したような複雑な気持ちだった。

その後ベーチェット病の友達のためにあれをしよう、これをしようといろいろ話がまとまり、クマとHARUKIは個別で会うことになった。
でもクマも家庭持ちだから、頻繁に会うことも出来ない。

HARUKIの記憶の中で一番鮮烈だったのは、クマが家族連れで某公園でバーベキューをやっているから、その近くの駅で落ち合おうと言われたとき。

夏の暑いさなか、日に焼けたクマが大汗をかきながら、友人のために用意したカセットテープを持って現れた。

あぁ、いいお父さんやってるんだなぁ。

HARUKIは素朴にそう思ったのだ。

そして、秋のある日。友人のために計画したこともほぼ終了し、もうクマと会う事もなくなるんだなぁとHARUKIは思いながらクマに会った。用事が済んだ後、なんとなく晩御飯を食べようということになった。

食事が終わり、別れがたかったHARUKIとクマは「散歩をしよう」と肌寒い秋風が吹き始めた新宿の某公園に出向いた。

ベンチに座って、HARUKIは言った。
「もうこれで終わりになるのは、私、嫌だ…」

クマはHARUKIを後ろから抱きしめながら言った。
「オレも嫌だ」

今でも忘れられない。新宿の高層ビルの夜景が、やけに澄んできれいだったことを。

それから、HARUKIとクマの怒涛のダブル不倫の日々が始まった。

付き合い始めて、とにかくショックだったのは、あれだけ絵を描くのが好きだったクマが、結婚してからの10年の間に、油絵の作品を1枚も描いていないということだった。理由は、妻が油絵の具を嫌っていたということもあるが、クマ自身の精神状態がズタボロだったからなのだ。

HARUKIは、別にクマの家庭を壊すつもりもなかった。でも、とにかくクマにもう一度絵を描いて欲しい、それだけを考えていた。


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