潤一郎ラビリンス7巻読了。
「人間が猿になった話」
以前、人間だった猿に惚れられ 美しく、薄幸な芸者が最後には森の中に連れ去られてしまう話。
この話を読むと、「ベアーズキス」という映画を思い出した。 サーカス団の少女が子供の頃から可愛がっていた熊が ある日、数時間だけ人間の姿に変わり、お互いに愛し合ってしまう。 結局、本当の人間になれず、報われない恋に終わる。
二つの愛の形は、諦めと宿命が混ざり合い、 人間同士の愛では生じない切なさを感じさせられる。
「美食倶楽部」
美食を好むことを唯一の楽しみとする倶楽部。 上品な倶楽部かと思えば、そうではない。 ただただ、おいしいものをたらふく食べて、全ての五感を意地汚く 満足させたいためだけの倶楽部。 世界で唯一おいしい料理は中華料理だというところで 油のギラギラ感が一層増してくる。 後半になると、意地汚さに少し女の柔肌や香りをも味わいながら 食を貪欲に貪りたいというエロスが加わる。
人間のあらゆる欲望の根底は性欲がマグマのように潜んでいるのだろうか。
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