夕方になり、一気に温度が下がる。 ブーツの靴音が心地よくなってきた。 ブーツ、鞄等の革をクリームで丁寧に磨くのが好きだ。 革がだんだんいい色に変わってきて、微妙な色を見せ始める。 メンテナンスは大事だ。
中井英夫の「虚無への供物」の冒頭のヴァレリーの詩。 一時、フランス詩を覚えていた。 無謀にもフランス語学習1年目で。 難しくて、途中でやめてしまったが、こうやって 時々本を広げると、当時覚えた情景とともに蘇ってくる。 寒い冬に、フランス語の帰り、電車の中で 暗誦した詩をノートに書いていた。汚い字で。 駅に到着すると、今度は、自転車に乗って 乾いた空気の星空の下で、さらに大声で朗読。 1年後、覚えていたはずが、もう忘れている。 私の脳はそんなものか。 フランス語変換のやり方がよく分からないので、英語変換で。 好きな表現はこの2行。
Jete, comme offrande au neant そそいでやった、虚無への捧げ物として Apres une rose fumee 一陣の薔薇色の煙のあとで
Le vin perde (消えうせた葡萄酒) Paul Valery
J'ai quelque jour,dans l'occean (Mais je ne sais plus sous quels cieux) Jete, comme offrande au neant, Tout un peu de vin precieux...
Qui voulut ta perte, o liqueur? J'obeis peut-etre, au devin? Peut-etre au souci de mon coeur Songeant au sang, versant le vin
Sa transparence accoutumee Apres une rose fumee Reprit aussi pure la mer...
いつだったか、私は、大海原に (どこの空の下だったからは忘れたが) そそいでやった、虚無への捧げ物として ほんの少しの貴重な葡萄酒を
誰がお前を捨てたりしようか、おお 酒よ あるいは占い師に従ったのか それとも心の不安にかられながら 血を流す思いで葡萄酒を流したのか
いつもながらの透明さを 一陣の葡萄色の煙のあとで あんなにも純粋に 海はふたたび取り戻し
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