ハッピーステップ
泥沼生活から、這い上がった軌跡(日記のはじめのほう)を書いた後
最近では、日常の感じた事をつらつらと、不定期に更新中ですm(_ _ )m

2003年11月02日(日) 第55章 春の陽気に。

次の日、いつものように津川さんから、電話があった。  


「話、してきたよ。津川さんのことも話してきた。」
「そうか。」
彼は、それ以上の事は、言わなかった。




そんなことが、あってから、何度か、私の家にあきらちゃんが来る事や、
電話がかかってくることがあったが、私の気持ちはもう、あきらちゃんには、
戻らなかったし、あきらちゃんも、相変わらず、いい加減な生活を
続けているようだった。


私へのお金の返済は、一切なかった。


もしも、私が、男で、あきらちゃんの立場なら、
私の家へ訪れてくるとしても、
その返済を済ませてから、やり直したい気持ちを伝えに訪ねるだろう。

あれだけの啖呵を切って、私の元から出て行ったのだ。
それを何の悪びれもなく、ひょこひょこ私の前に現れるあきらちゃんに、
嫌悪さえ感じるようになってしまった。



津川さんは、はじめと全く変わることなく、
いつまでもやさしく私を包んでくれた。



私は、それから、就職口を見つけ、そこで一年働いた後、
そこを退職し、フリーのデザイナーとして、在宅で働くことにした。

私自身、その一年の間に、借金もなくなり、少ないながら、
ある程度の貯蓄もできるまでになっていた。

とんとん拍子に、契約してくれる会社が、何軒か見つかり、
仕事は、順調に進んでいった。




ある日、私は、急に自転車がほしくなり、自転車を買いに歩いた。

春の陽気が、ポカポカと、気持ちの良い日だった。

私の心は、その陽気のせいもあり、平和で幸せな気持ちに包まれていた。

こうやって、急にほしくなった自転車を何のためらいもなく、
買うことができるようになったのだと、ふと感じた。

うれしさで、涙が出そうだった。



普通なら、こんなことで、涙が出るほど、うれしく思ったりしないだろう。

しかし、私は、ほんの数年前まで、たった、200円の豚肉を買うために、
お金が惜しくて、何度も何度もスーパーを往復して迷い、結局、買えずに
スーパーを後にする。そんな生活を送っていたのだ。

そのことを思うと、そうして、自転車を買いに行ける喜びは、
大きなものだった。



帰り道、暖かな並木道を自転車で、通り抜けると、
とても爽やかな気持になった。




私を救ってくれたのは、津川さんだ。
私は、心の底から、感謝の気持ちでいっぱいだった。
春の陽気の中で、大きな幸せを手にした喜びに胸がいっぱいだった。





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