Jacarandaの日記
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2026年02月06日(金) 帝王切開手術の失敗

Start to work in Blantyre Veterinary Office

    
往診
September 11 ,19--


今日は、私のVeterinarian としての人生の中で、
どうしても書いておかなければならない事件が起こった


私は生まれて初めて 一人で牛の帝王切開手術を試みることになってしまった!
今日は、オランダ人の院長が、ぎっくり腰で、休んでいる
朝から私一人で仕事をこなしていた 
そして、最後の往診で Snake bite の牛の治療が終わって、
今日はこれで無事終了だと思って Officeに戻ってきたとたん、
再び、” Difficult Calving! ” と 
Clinicに Emergency Call  がかかってきた
Chileka Airport の近くにある白人の経営しているCHIKUNDA FARM の初産牛だった
とても小さな牛で、見るからに胎子が娩出するにはとても困難な骨盤腔だった
 
ロープを使って娩出を試みたけれど, 出てこない!
ダメ!

帝王切開しかない!!
決まった

緊急時に私にとってはじめてのOpeである
誰も助けはないんだ というあの不安は、たぶん生涯忘れることは出来ないだろう
電話で自宅で休んでいた院長に指示を仰ぐ
Ownner も以前に同じようなケースがあって、やり方を見ていたからと、手伝ってくれるという
どきどきと心臓の音がなっている
う-ん、やるしかない

意を決した
麻酔の準備をする
メスを持つ手が震えていた

しかし、私は稚拙なミスをしてしまったのだ
なんと 左側の腹壁を切開してしまったのだ! 


牛には4つの胃があって、その一番大きく左側の腹腔をほぼ占めている第1胃を避けて、帝王切開の手術は、 右側のほうから切開するのが通常のやり方だ  ( ← 注 )

やはり、あせっていたのだ
なんということをしてしまったのだと思ったとたん、
私の心の中に絶望感 
そして、何もかも投げ捨てて、
逃げ出したくなる自分の弱さを 
この時、いやというほど思い知らされたのだ

Never give up  ! と
私は頭の片隅で一生懸命叫んでいる
しかし、私の手はもう一刀も先に動かなくなってしまった
母牛が陣痛のためにいきんでいるのに合わせて、腹圧がかかってしまい、
みるみる腸がはみ出してくる 
一生懸命戻そうとするがだめだ 
子宮も確保できない

ああ。。。。。

胎仔が危険になった
オーナー は決心したようだ
ライフル銃を取り出した
母親のほうを撃ち殺して、子牛だけでも出すことにしたのだ

そのライフル銃の音
私の耳から離れない音

それは、すっかり暮れなづんだ 薄暗い牛舎の 白熱ランプの中に映し出される
忘れられない光景だ

すぐに、Malawian worker 達が、母牛のおなかを開いた
子牛は大丈夫だろうか
彼は息をしてくれた
 オスだった

死んだように反応のない子牛を一生懸命 " 生きてくれ 息をしてくれ "
と願いながら 無我夢中だった
オーナーが 鼻にワラくずを突っ込んで、 やっと彼は息をしたようだった 
体を拭いているうち、 " ヴェー! " という 産声を上げたときは、
本当に涙が出る程だった

母牛の犠牲による この子牛の将来を 神様 どうかお守り下さい!
私の臨床医としての未熟さで母牛を死なせてしまったのだ
今回のことは 私に獣医としての責任の重大さを改めて認識させられた

そして、すべてが終わった後、
私は最も口にしてはいけない言葉を言ってしまったのだ

" I 'm very sorry for doing such a operation . "




   ※注(July/15/2006 追記 )

     大動物臨床獣医師の先生から最新手術法の情報をいただきました。

     「 左を切るのは間違いとは言えません。
     尾側より、腹側よりを切ることで第一胃を避けようとはしますが、
     立位でも横臥でも左を切る方が主流になっていると思います。
     牛の帝切は一人でやるのはたいへんな手術です。 」

 馬医者修行日記 ” hig さんより 


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Dr. C.N . Bota Miwiyeriwa
September 15,19--


翌日、私は上司である Blantyre  Agriculture Divisional Office 、局長 、Divisional Veterinary Officer のDr. Bota Mwiyeriwa に呼び出された
彼女はこの国で初めてVeterinary Officer になった、女性だった
私が赴任の挨拶に行った日、
彼女は 「 あなたが 日本から赴任してくるのを 首を長くして待っていました。
私はずっと女性として政府で頑張ってきたので、女性であるあなたがやってきてくれて本当に嬉しいのです。 一緒にこれから、やって行きましょう 」 と言ってくれた人だ

彼女から、今回のことで、牧場のオーナーが今日
彼女の Office にやってきて、 Malawi 政府に損害賠償を求めてきたという
彼はこう言ったそうだ

「牛の難産のため、いつものように Blantyre ClinicのDoctorに、往診をお願いした
程なくやって来たのは、日本から来たというとても若い女の先生だった
いつものオランダ人の院長はどうしたのかと尋ねると、

" 今日は、院長は病気で休んでいるので、代わりに私が来ました
  9月から仕事を開始している日本人ドクターです 」 と彼女は答えた

彼女の手術の腕は、本当に稚拙だった
こんな、未熟な Veterinarian を Malawi 政府は、温存しておくのですか?
今後 我々は安心して、彼女に Clinic を任せてはおけない。
それは Malawi 政府に対する信用を失うことになり、 我々牧場主にとっても、政府にとっても大きな損害になる 」 と

昨日の母牛の損失として、
 XXXX Malawi kwacha を賠償金として要求してきたそうだ
私が、 彼に手術後に言った言葉

「 I 'm very sorry 」

この言葉は、 自分の非を認めてしまったことになる 最も口にしてはいけない言葉
この英語の 持つ意味を 私は 全然 理解していなかったのだ
言葉の重みを そして、言葉の壁を ものすごく感じた
冷や汗が流れてきた

Dr.Bota は静かに言った

「 Dr.Jacaranda 、 熱心なことと、出来る事は違うのですよ 」

獣医のことを 英語では、
Veterinarian もしくは Veterinary Surgeon というように、外科が出来るのが当たり前なのだ
なのに、私は、日本での専門は内科だ
もっぱら、ワクチンを打ったり、注射をしたり、検査をしたり採血をしたり。。。。。
せいぜいがそんなところだ
なのに、いきなり 牛の帝王切開だ
自分の獣医師として、この国に来たことの甘さをいやというほど味わった
現実は甘くない
私のLicenseは、ただの飾りじゃない
この Malawi では貴重な 21番目の Veterinary Officer なのだよ! あなたは !!
そして、日本人獣医師としてはじめてこの国で働く人間なのだよ
あなたが日本を背負っているということをもっと認識しなさい!!
これは、あなた個人の問題だけではないのだよ
日本と Malawi 政府とのもっと大きなかかわりの中での重要な事件なのだよ

Jacarandaよ
緊急時にどうするか 、
これの状況判断と適切な処置を いかに迅速に正確に出来るかどうか ということなんだよ
不断の診療なんて、誰でも 出来るさ
昨日のような Emergency Case をどう処理するかなんだよ!
これが、臨床なんだ!
甘えてはいけない

Dr.Botaから、この件、政府の対応の結論が出るまで、 
Blantyre Vet. Office and Clinic の副院長として、仕事をサポートしなさい
ということだった

駐在事務所に帰って、所長に報告

「 Jacaranda 君、 日本へ強制帰国処置になるかもしれないね。。。。。
  とにかく、 Dr.Bota は、前向きの対処する姿勢だから、
  君は 君のやった手術処置の正当性を
" Professional Answer " として 英文で書いてよこしなさい
添削は秘書にお願いするから、
とにかく  専門的に 自分の立場の正当性を報告書にまとめなさい
そして、自分の立場を守りなさい 」

なんだか、泣きたくなってきた。。。。。
私には、こんな開発途上国での どんな対応も的確に出来る
こんな責任の重い獣医師の仕事なんて 向いていないんだ

明日も午後から往診がある



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Student from Zimbabwe
September,19--


今週から、大学の休暇で帰国している Zimbabwe 大学の白人の女子学生が、
Clinicに実習に来ている
彼女のようにすらすらあたりまえに英語が喋れれば、何もストレスはないだろう
彼女、Emy Lean から借りた大学の Clinic Work の本を返すために、
朝5:00起きして Office の 門の前で 6:15 の約束で 待っていた
風の強い朝だった
とても寒かった

彼女は黄色のピアスをして、カーディガンも黄色だった
綺麗な色だった 
彼女の Veterinarian としての輝く未来のようだった
それに引き換え、 
私の未来は。。。。。?


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September 19,19-- 朝、10:00〜13:00


Limbe Club House でテニス
午後、Y、 K 宅へ訪問 
夕食を食べて、22:00ごろ K 氏 の車で送ってもらう
すこし、 気分を変えたい


重い心



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