偶然ではなく必然と 静けさに身を任せると 只ゝ 貴女を思い出す
気まぐれに私の背を上り 気まぐれに膝を叩く
気まぐれに私を驚かせ 気まぐれにじゃれてくる
只
私の傍に飛び出してきたことだけは
私の声に逃げずに掌に懐いたことは
それだけは
気まぐれではなかったと そう 思いたいので在ります
+ + +
火葬 灰が 影を創りながら流れていった
隣で
見てみなよ、と 声がした
綺麗だ、と
あめが
流れているようだ、と
+ + +
別れなど 縋りつくなど止めなさい 泣き止んでやりなさい
3年前に 同じ科白を遠くで聴いた
逝けなくなるから 離してやりなさい あの仔の寝顔に 涙をけして落としてはいけない
わかっている わかっている
けれど何処か片隅で 逝けなくなるなら 戻ってくればいいと
そんな 途方も無いことを考えている
+ + +
呼吸 色の失せた唇を 私の口で塞いだ
何度も何度も 繰り返した
貴女の止まったその機関には
私の呼吸が満ちている
+ + +
答え
せめて 終わりを知っていたら
そう考えては 私は止める
きっと答えは変わらない
何をしてやっても どれだけ尽くしてやっても
失うことに変わりが無いなら
私は結局 面影に泣くし 貴女はずっと 涙の降る地で 暮らさなければならない
貴女を抱きしめて 私が幸せだったように
貴女を中心に 私たちが廻り始めていたことに
貴女がきっと 幸せで在ったと
そう想うしか答えは出ない
+ + +
雨降り地区
暖かな暖かな 日溜りの中で暮らす 穏やかな穏やかな そんな日々が貴女を待っている
そんな 楽園のような場所に 一箇所だけ 雨が降り続ける場所があると云う
止まない雨は 身体中を濡らし なのに そこから動かない
私の涙が雨に変わり 貴女はそれを 哀しい瞳で受け入れる
雨降り地区で 雨が止むのを じっと待っている そんな仔達が たくさんたくさんいるそうだ
嗚呼
早く貴女を日溜りへ
+ + +
愛情
愛しているよ
どんなに遠い場所へいっても
二度と戻れぬ場所であっても
愛しい愛しい我が子へ
もしも日溜りに飽きて
騒がしかった日常を
もしも恋しく想う日が
いつかいつか来たならば
生まれ変わっても
私たちの元にきてくれるか
泣かない彼が静かに泣いていた意味を
声をあげない私が縋りついて慟哭した理由を
貴女のお兄ちゃんがうろうろ貴女を探す姿を
それ程までに
愛されていた日々を
貴女の周りで笑い声が絶えなかった
そんな日々を
もしも思い出してくれるなら
雨のように偶然に
気まぐれな貴女が
図ったように必然に
私たちのところに
帰っておいで
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