限定鼓動

2007年11月07日(水) junk

偶然ではなく必然と
 
静けさに身を任せると
只ゝ 貴女を思い出す

気まぐれに私の背を上り
気まぐれに膝を叩く

気まぐれに私を驚かせ
気まぐれにじゃれてくる



私の傍に飛び出してきたことだけは

私の声に逃げずに掌に懐いたことは

それだけは

気まぐれではなかったと
そう
思いたいので在ります




+ + +


 
 火葬
 
灰が
影を創りながら流れていった

隣で

見てみなよ、と
声がした

綺麗だ、と


あめが

流れているようだ、と




+ + +



 別れなど
 
縋りつくなど止めなさい
泣き止んでやりなさい

3年前に
同じ科白を遠くで聴いた

逝けなくなるから
離してやりなさい
あの仔の寝顔に
涙をけして落としてはいけない

わかっている
わかっている

けれど何処か片隅で
逝けなくなるなら
戻ってくればいいと

そんな
途方も無いことを考えている




+ + +


 
 呼吸
 
色の失せた唇を
私の口で塞いだ

何度も何度も
繰り返した

貴女の止まったその機関には

私の呼吸が満ちている



+ + + 



 答え

せめて
終わりを知っていたら

そう考えては
私は止める

きっと答えは変わらない

何をしてやっても
どれだけ尽くしてやっても

失うことに変わりが無いなら

私は結局
面影に泣くし
貴女はずっと
涙の降る地で
暮らさなければならない

貴女を抱きしめて
私が幸せだったように

貴女を中心に
私たちが廻り始めていたことに

貴女がきっと
幸せで在ったと

そう想うしか答えは出ない




+ + +



 雨降り地区 

暖かな暖かな
日溜りの中で暮らす
穏やかな穏やかな
そんな日々が貴女を待っている

そんな
楽園のような場所に
一箇所だけ
雨が降り続ける場所があると云う

止まない雨は
身体中を濡らし
なのに
そこから動かない

私の涙が雨に変わり
貴女はそれを
哀しい瞳で受け入れる

雨降り地区で
雨が止むのを
じっと待っている
そんな仔達が
たくさんたくさんいるそうだ


嗚呼

早く貴女を日溜りへ




+ + + 



 愛情 

愛しているよ


どんなに遠い場所へいっても

二度と戻れぬ場所であっても


愛しい愛しい我が子へ


もしも日溜りに飽きて

騒がしかった日常を

もしも恋しく想う日が

いつかいつか来たならば


生まれ変わっても

私たちの元にきてくれるか


泣かない彼が静かに泣いていた意味を

声をあげない私が縋りついて慟哭した理由を

貴女のお兄ちゃんがうろうろ貴女を探す姿を


それ程までに

愛されていた日々を


貴女の周りで笑い声が絶えなかった

そんな日々を


もしも思い出してくれるなら


雨のように偶然に

気まぐれな貴女が

図ったように必然に



私たちのところに

帰っておいで


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陽 [MAIL]