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ムシトリ日記
加藤夏来
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2005年10月31日(月)
メモ

○メモ

アルスラーン戦記新刊「魔軍襲来」感想


「できたぞ。読め!」(作者巻頭言)


六年間先の見えない日々を待ち続けたファンと同様、作者も多少興奮している模様。しかし、いくらなんでも七年かけて前の刊、六年かけて次の刊というサイクルはみんな腹に据えかねているらしく、きっちり買っているにも関わらず作者を「田中」呼ばわりする人の多いこと多いこと。それにしても全編通して一番印象的なセリフが作者の巻頭言ってどうよ?

内容自体がどうこうというより、出たこと自体が奇跡的過ぎて中立の感想が出せない。
何故か、北海道東部への列車旅行のどん詰まり点、知床半島の先で、船の甲板から見た北方領土を思い出した。無理のある日程と二時間に一本しかない電車のせいで同行者全員疲れきり、私ともう一人(女)だけが船のへさきに陣取っていたのだが、どちらからともなく大笑いしながら殴り合いしたものだ。

「あのクソみたいな時刻表にもめげず、ついにここまで来たぞ!!」

という理屈抜きの喜びがそこにあった。規模は小さいものの、丹野氏の表紙の新書を見つけたときの感情はそれと同種のものだったと思う。さすがにここまで待たされると、南へ向かうアルスラーンの孤影を追っていった十六翼将みたいなファンしか仲間にはいない。
読めとさ、みんな。読もうぜ。そして一斉に田中の背中をどやしつけてやろう。

「読んだぞ。書け!」