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2004年07月27日(火) 早朝の電話

メールの内容はこうだ

「あなたのご主人、***は、出会い系でいろいろな女性をひっ
かけては複数と関係をもって、女性をおもちゃのように扱って
います。どうぞ、ご主人がお風呂のとき、寝ているとき、プラ
イベートの携帯メールを読んでみてください。すべてがわかる
はずです。事前に騒げば証拠は消してしまうはずです。事実を
お知りになり、どう使うかは自由ですが、くれぐれも気付かれ
ませんように。***は、最低の部類かと思われます。質問が
あれば、メールをください。」

携帯でインターネット画面を開き、フリーメールのサイトを探して
そこから捨てアドを作り、送信した。

この期におよんで、まだ、私が送ったのだと
ヒロにばれるのが怖かったのだ。

躊躇して、何度か迷って、送信ボタンを押した。

どうか、うまくいってくれればいい。
奥さんがこのメールを読んで、その内容をうけとめて
家に戻ったヒロの携帯を見てくれるといい。
そして、すべてが白日のもとにさらされて
ヒロは、好き勝手できなくなればいい。
私とも、終わりになってしまえばいい。
私がいくらすがっても、泣いても、ヒロが拒絶せざるを得ないような
修羅場になってしまえばいい。

そんなことを思いながら、ヒロが寝ている布団に戻った。
ヒロは、ぐっすり眠っていた。
あたたかいヒロの身体に自分の身体を押しつけ、
ヒロの寝息を聞きながら、じっと息をひそめていた。

鳴るな、鳴るな、どうか何かあったら、メールを送って。
ヒロに直接言うことは、ダメ・・・。

朝7時。別荘に、電話がけたたましく鳴った。
ヒロは飛び起きて、電話のほうへ向かった。

「奥さんからだ」

からっぽになった布団の中で、私はそっと舌打ちした。

ヒロにメールが届いたことを今、言えば
ヒロは証拠を消してしまうのに。
家に戻るまえに、さまざまな言い訳を用意して
「なんでもなかったこと」にしてしまう。
ヒロは、ごまかすのがうまいのだから
きっと、奥さんはそのまま信じてしまうんだろう。

案の定、奥さんからだった。

「うんうん・・どうした・・うん・・そうか・・
転送できるか?・・・そうか・・いや、帰ってからゆっくり説明する」

そういって、ヒロは電話を切った。

私は不安そうな顔をつくり、ヒロに聞いた

「何があったの?どうしたの?」

心の中で、奥さんに「使えない人」と毒づいた。

その間にも、それ以前にメールをした
ヒロのお相手からも、続々と返信が返ってきていた。


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