ひとりごと
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実家でお仕事 2004年12月14日(火)

「住所録の入力が早いの。自分でびっくり!」と母に自慢したばっかりに
「それじゃ、うちのもお願いしようかしら?」と言われてしまった。
「任せておいて!」と気安く請合ってから
「それで、何枚くらいあるの?」と聞くと、「今年は800枚買ったわ。」…。
妹たちの分を抜いても、700件近くはあるらしい。
どひゃ〜〜〜。

そう言われてからも、なかなか実家に行く時間がなかった。
「いいわよ。毎年のことだから、少しずつ書いていくから。」と諦めたように言う母。
たしかに、パソコンで打ち出した文字より、母の達筆の宛名のほうが
受け取ったほうも嬉しいに違いない。
積み上げた年賀はがきを前に、墨を擦り擦り夜鍋する母の姿は
小さいころから見慣れた年末の風物詩でもある。
それでも、ただでさえ忙しく疲れる年末、目をしょぼしょぼさせながら1枚1枚書いていく
年をとった姿を思い浮かべると、つらくなってしまった。
それで今日の午後、「いっぺんに全部は無理かもしれないけど。」と前置きして、
思い切って実家に住所録の打ち込みをやりに行った。

私が来ると聞いて、父は一応名簿を整理していてくれたらしい。
だけどそれは、あっちへ飛び、こっちへ飛びしてややこしい。
これは○○会、こっちは××の会、そしてこっちは会社関係、その他いろいろ。
住所や名前を打ち込みながら、それも分類して行く。
パソコンに入っている住所録ソフトは、郵便番号を入れたら
途中まで住所が出てくるようになっているのでとても楽だ。
でも父の手書きの文字が読めなかったり、住所表示が変わって見当たらなかったり、
意外と手間取ってしまう。
それに、昔の人の名前って、なんでこんなに難しい漢字を使ってあるのだろう?
間違えた字を使うわけにはいかないので、部首や画数で調べて漢字を探していった。
おかげでずいぶんいろいろな字や名前を覚えた。
中には、小さいころの社宅でかわいがってくれた懐かしいおじさんの名前も出てきたりして
母や妹とそんな思い出話もしたりした。
お茶やお菓子も出てくるし、おしゃべりしながらのこんな仕事はなかなか楽しいのだった。

でも1時間もやっていると、指先が冷たくなってきた。
北向きのこのダイニングキッチンは、煮炊きしたり、みんなが集まったりするわりには寒い。
手をこすり、指先をもんだりしながらやっていたけれど、だんだん指が動かなくなってきた。
ちょっと休憩。
母が作ってくれた熱いココアをふーふーしながら飲んだ。
首や肩を回して、足を屈伸させて、ちょっとテレビを見たりもした。
あまり見たことのない昼間の番組が新鮮だった。
母がいて、妹がいておしゃべりをして、一緒にお茶を飲みながら昼間のテレビを見て。
こんな風景が昔にあったようで、懐かしい気持ちになった。

休憩をはさみ、だんだん仕事のペースが進んできた。
やがて午後遅く、幼い賑やかな声がはずみながらやってきた。
すぐ下の妹が、幼稚園から帰った姪たちを連れて遊びに来たのだ。
姪たちは、私がいることを喜んでくれた。
「おねえちゃまはお仕事だからね。ごめんね。」と言い渡しながらも、
ついついかわいいおしゃべりにつきあってしまう。
幼稚園の先生の話や劇の話、サンタさんに書いたお手紙の話。
アドベントカレンダーから、小さなチョコも取り出してもらった。
キーボードを打つ手のほうがおろそかになってしまう。
でも小さな子たちの話は楽しい。
そして日が暮れ、今度は保育園から甥が帰ってきた。
賑やかになっていく小さなダイニングで、私は父の手書きの名簿をパソコンに打ち込んでいった。

温かいおいしそうな匂いが漂ってきた。
「もうその辺でいいわよ。」と母の声。
もう夕食の時間になっていた。
夫は今日は出張で帰りが遅いので、あわてて家に帰って食事の支度をすることはない。
一段落したところでパソコンを閉じて、母の料理を妹たちや姪たちといただいた。
結局入力できた名簿は360件ほどだけだった。
まだ半分残っている。
「また来なくっちゃね。」と言うと、「あとは手書きでもいいし、○子にやらせてもいいから。」と母。
「少しは楽になりそう?」と聞いたら、「もう〜全然違うわよ!ありがとう。」と言われた。
それならよかった。
今年からは、ちょっとずつ実家の年賀状も、デジタル化されていきそう。
どんどん交友関係を広げていく父のお世話を、母だけが背負わなくてもよくなりそうだ。

夕食後、妹が姪たちに帰る支度をさせ始めた。
私も夫が戻る前に、家に帰らなくちゃ。
荷物をまとめると、持ってきたトートバッグがふくらんでごろりと重い。
中にはいつの間にかみかんやりんごやおせんべいでいっぱいになっていたのだった。
こんな荷物だったら重くても大歓迎。
途中の駅まで、母に車で送ってもらった。
その車内で「これ、ビール券とアルバイト代ね。」と封筒を渡された。
「いいわよ、こんなに!結局できなかったんだから。」と遠慮すると
「いいから取っておきなさい。ずいぶん助かったんだもの。」と母が言った。
こんな年になって、お小遣いをいただいていいのかな、と思いながらもありがたくいただいた。
夫へのクリスマスプレゼントでも買おうか。
それとも、両親への小さなプレゼントが何か買えるかな。


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