ひとりごと
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ガシャガシャン! と、庭で大きな音がした。 窓を開けて顔を出してみると、逃げていくしっぽ。 倒れている薔薇の鉢、鉢、鉢。 花壇の縁取りレンガの上に並べておいた薔薇たちを、 用足しに来た猫ちゃんが倒して行ってくれたのだった。 幸い鉢は壊れていない。 だけど土がこぼれて根っこが半分見えていた。
早く植え替えをしなくては、と思っていたのだった。 伸ばし伸ばしになっていたけれど、これはいい機会。 お天気もいいし、今日は薔薇のいっせい植え替え日にしよう。 大まかな剪定は済んでいるし、赤玉土も、腐葉土も牛糞も、ちゃんと買ってあるのだし。 身支度をして、庭に出た。
去年の冬は体調が悪い日が多くてサボってしまい、2年ぶりの植え替えだった。 倒れてしまった鉢から順にやっていった。 薔薇をそっと鉢から抜き出し、土をよく落とし、水で洗い、病気がないかよく確かめた。 鉢もきれいに洗い、新しくブレンドした土を入れ、根っこがよく広がるように丁寧に植えつけた。 もちろん元肥も忘れずに。 しっかり根元を固め、たっぷりと水をやり、そして日の当たるテラスで休ませる。 タグの名前が消えかけているものは、新たに名前を書き直して鉢に挿した。
ほかの庭仕事と同じ。 始めてしまえば、簡単で、こんなに楽しい。 薔薇の植え替えは健康診断みたいなものだ。 ひとつひとつの名前を確かめ、様子を伺う。 たくましい成長を喜び、元気がないものはその原因を考え対処する。 根っこが張り、株が大きくなり、窮屈そうになった薔薇は ひと回り大きな鉢に着替えさせる。 調子が悪そうなものは、少し小さい鉢で養生させる。 みんな自分で選んだかわいい薔薇たち。 それぞれの今までを思い、これからの成長を願い、触れるたびにますます愛しくなる。 寒い時期のこの作業の大変さは、春の花で報われる。
いくつもの鉢の薔薇たちの中で、その成長が一番嬉しかったのはグラミス・キャッスルだ。 買って何年たってもミニバラよりも小さく細く弱々しく、 水遣りをすると倒れてしまうくらい、根張りも小さく浅かった。 それが、この2年で立派になったこと! いっぱいに根っこが張って、鉢が持ち上がるほどだった。 まだ枝は細いけれど、瑞々しい赤い芽がいくつも吹きだしていた。 もうダメかと思ったときもあったけれど、諦めなくてよかった。 今年は花もたくさん見せてくれるだろうか。 このまま元気に育ってくれますように。
去年買ったばかりの新入りさんを除いた、十数鉢の薔薇の植え替えが終わった。 ふかふかしっとりした土に植えられて、たっぷり水を飲んでテラスに並んでいた。 空気がひんやりしてきて、満足して部屋に入った。 それでも今日は暖かくてずいぶんと楽だったのだ。 ちょっと冷たい風にも、ほんのり春の匂いが感じられた。 水に触れるのも苦にならなかった。 力強くなった陽射しは背中を温めて続けてくれた。 薔薇と触れ合って楽しかった。 思い切って植え替えを始めてよかった。 きっかけをくれた猫ちゃんに感謝。
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