ひとりごと
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紙のエプロンをつけて、おだやかなBGMの流れる暖かい診療室で 寝心地のいいリクライニングの診察椅子に座り うとうとしながら治療の順番を待っていた。 今日に限って、待ち時間が長かった。 目の前の時計を見ると、この椅子に座ってからもう30分近くたっていた。
忘れられたのかな。 あまりよく眠っているからそっとしておこう、なんて 気を利かせてくれたのかしら。 たしかに、3本立ての夢など見ていたけれど。 目が覚めるたびに、ここがどこだか一瞬わからないんだ。 その感覚はちょっとおもしろい。 でも、もう眠らない。 ちゃんと目を開けていよう。
でも椅子に座ったままではそんなに見るものもなく また眠くなってしまいそうだった。 首を横に向けて、明るい光が差し込む窓の方を見た。 「○○歯科医院」と裏返しの字が窓ガラスに書いてあった。 そして「電話XXX-XXXX http://〜…」と書いてあるのが読めた。 この歯医者さん、HPを持っているんだ。 家に帰ったら、すぐに見てみよう。 楽しみを見つけた。 そしてそれからすぐに先生がやってきて治療が始まった。
今日の治療は麻酔も打たず、簡単だった。 終わったあと手鏡を渡されて、治療したところを示された。 「それではこれで終わりです。また痛むようだったら早めに来てください。」 これで終わり? 終わった〜!
最後に簡単に歯磨きの説明を受けて診療室を出た。 「どうもありがとうございました。」 よかった。 やれやれ…。 2ヶ月の間、週に1、2度通った歯医者さんともしばらくお別れだ。
家に帰って、いつものようにすぐにパソコンのスイッチを入れて 忘れないうちに、歯医者さんのHPを探した。 同じ名前の歯科医院はいっぱいあったけれど、すぐに見つかった。 今、出てきたばかりの見慣れた受付がとてもきれいに写っていた。 スタッフの数人の女性もみんなにこやかで感じがよかった。 この人たちに、大口を開けているところを見られていたんだな。 ちょっと恥ずかしい…。
医院の場所の地図、診察時間、Q&A。 そして「院長の挨拶」。 男の人の顔のアップが出てきた。 間違いなく、いつものあの先生なのだろう。 けれど初めて見る顔。 そう、いつものあの大きなマスクがないから。 先生の目しか見たことがなかったのだもの。
へぇ〜。 こんな顔をしていたのね。
落ち着いた声から想像していたよりも若い、ほのぼのと優しい顔だった。 今まで10年以上も治療をしていただいているのに 初めて会うなんて、不思議な感じだった。
はじめまして。 いつもお世話になっています。 でもなるべくお世話にならないように気をつけます。
写真に向かって心の中でつぶやいた。
どうもありがとうございました。 これからは街の中や駅で会っても挨拶できますね。 それでは、さようなら。
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