ひとりごと
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パン教室の帰り道は夕方になった。 駅前のロータリーは家路を急ぐ人たちでいっぱい。 そして鳥たちも、ねぐらに帰るところだった。
ロータリーの真ん中に立つ大きな木に 鳥たちが住んでいることを知ったのは去年の今頃。 霙が降る夜のことだった。 寒さに足踏みしながらバスを待っていたとき 円錐型の木の枝のシルエットに鳥の白い姿が浮かび上がって見えたのだ。 最初は花かと思った。 よくよく見たら、冷たい氷雨の中で静かに眠っているセキレイたちだった。
それから、夜に駅前を通るとこの大きな木を見上げてしまう。 春から秋の間は、葉っぱに隠れて鳥たちは見えないけれど ここで何百羽もの鳥たちが眠っているのだと思う。 冬になると、白い花のように枝で眠る鳥たちの姿が見える。 この木が雪をまぶしたクリスマスツリーのようにも見える。
今日はちょうどよく、鳥たちの帰宅時間に通りかかった。 足を止めて見ているその間に、どんどん鳥の姿が増えていった。 金星が光る黄昏の空に、花吹雪を散らしたように鳥が舞う。 それぞれ、今日の出来事を報告しあっているのか賑やかに鳴きかわしている。 バスが並ぶロータリーの上をひゅんひゅんと勢いよく飛びまわる。 そしてすいっと木の枝に止まり、そっと翼をたたんで眠る準備をする。 すぐに空も、木も静かになった。 何事もなかったかのように。 短い映画を見終えたような気持ちになった。
今、この時間もあの高い木の枝々で鳥たちが夢見ている。 木だけが鳥の重みを知っている。
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