ひとりごと
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午後から庭に出て、薔薇の植え替えをした。 小さい鉢で我慢したままの一番の新入りさん、 スタンダードのギスリーヌ・ド・フェリゴンドが気になっていた。 初めて使う12号鉢はとても重くて 土と薔薇を入れたら持ち上げるのに苦労しそうなので 置くつもりの場所で作業をした。
この薔薇は、玄関ポーチの脇に置いて、下の駐車場に枝垂れさせるつもりだ。 家の東北の角だけれど、朝と夕方、そして真夏の昼間にも日が当たって、わりと明るい。 きっとよく花を咲かせてくれると思う。 背の高い薔薇が傾かないように気をつけて左手で支え、 段ボール箱の中で配合した土を鉢の中に入れて、ごつごつした根を埋めた。 大きな鉢の中に土はいくらでも入っていった。 何度も土を作り足して、やっと薔薇はしっかりと立ち上がった。
ひと仕事終えて満足。 これであとは成長を見守るだけだ。 少し離れて鉢と薔薇の全体写真を撮ろうと思って 家の北側、お隣の家との間の通路に入った。 ここはちょっと手入れ不足。 咲き終わった菊がそのままドライフラワーになっていたり 雑草や苔の間から、クロッカスの瑞々しい芽が出ていたりする。 あとでなんとかしなくちゃ、と思いながらふと壁面を見てびっくりした。 北側の壁にはアイビーがびっしりと這い登っているのだった。
あまり日当たりもよくなく、たぶん手入れも行き届かないだろうこの通路に 何本かのアイビー(ヘデラ)を挿し木したのは引っ越してきた5年前だ。 思惑通り殺風景な通路をいろんな色や形の葉っぱが彩り、 土を隠し、爽やかにしてくれていた。 それには満足していたのだけれど、ここまで成長していたとは…。 クリーム色の壁に緑のアイビーが絡まっているのは それはそれで素敵な眺めなのだけれど、このまま放っておいたらどうなるのだろう。 家を覆いつくしてしまうかもしれない。 とりあえず、私は家を甲子園球場のようにするつもりはない。 これは取らなくては!
ところがこれが手ごわかった。 葉っぱはこんなにかわいいのに、茎はとても硬くて、 さらにその茎からびっしりと出ている根っこはとても丈夫で力強かった。 茎を持って引き剥がそうとしても、なかなか取れない。 思いっきり引っ張ると茎が切れるし、根っこも壁に残ったままになる。 指先も入らないくらい、隙間なく根が出ている。 剪定ばさみを間に入れてこじ開けようとして、でも力が足りなくて その勢いで指先を切ってしまった。
どうしよう。 今日のところはここで終わりにしようか。 それとも諦めてツタが絡まる素敵な家を目指そうか。 でも、剥がすのなら今のうち。 もう私の手が届くいっぱいいっぱいの高さまで伸びているのだから。 がんばって全部剥がすことにした。
そのうち、だんだんコツがわかって取りやすくなってきた。 上のほうの若い茎より、下の古い茎は壁から離れやすかった。 先から50センチくらいをなんとか剥がせたら、 あとは芋づるをひくようにばりばりと取れる。 しっかりと壁にしがみついて、きれいな葉っぱを開いているアイビーには申し訳なかったけれど 土の中の根っこはそのままなのだから、先のほうだけは散髪させてもらった。
2時間近く格闘して、やっと壁からアイビーを剥がせた。 もう空は茜色、空気も指先も体も冷たく、おなかはぺこぺこになっていた。 ひと山もあるアイビーの蔓をビニール袋に押し込んで、壁を見た。 壁に残った根っこのあとが傷あとのようで、ちょっと胸が痛んだ。 でもここを気に入っている丈夫なアイビーなら、またすぐに元気に伸びるだろう。 春にはまた壁を這い登ってくるのだろう。 私がツタ屋敷を作る決心をするまで、ずっとこの攻防戦は続くのだろう。
このアイビーと上手につきあっているおうちがあれば、 これを這わせて素敵になるのであれば、私も考えるのだけれど。 どうでしょう?
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